中国が超速で「スマホ先進国」になれた事情 日本とはいったい何が違ったのか

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その結果どうなるか。店は販売価格を高めに設定しないと採算が取れなくなるので、消費者にとって商品の割高感も増す。そして、品ぞろえに関しては、大都市と地方都市との格差が大きい。何かをほしいと思っても、地元の店舗では買えないことも珍しくない。店員の接客も総じてイマイチだ。ほかからちょっとでもいい給料が提示されたらすぐにでも辞めるので、経営者も教育に力が入らないという事情がある。結果として、実店舗は消費者から敬遠されがちですらある。

「スマホ」と「EC」による問題解決

スマホの普及とECの隆盛は、こうした問題を解決した。店舗費用・物流費用を減らすことによって、販売価格を安くできる。消費者にとっては、実店舗より2~3割安い値段で買える魅力が何より大きい。そして、地域によっては欲しいものを買えなかった問題も解決した。中小都市にいても、大都市の人と同時に買うことができるし、国内どころか、一気に越境ECを使って海外商品が手に入るようにもなった。

今までになかった利便性の高い買い物を1度でも体験したら、それはハマるに違いない。「上から目線」の店員を見なくて済むし、ネットでの競争はフェアでかつ激しいので、出店者はオンラインの顧客満足度向上に心を砕いている。ネット店舗の専用チャットアプリを使えば、通勤中でもお昼休みでもいつでも問い合わせができて、配送状況を確かめたり注文したりできるのだ。

進化したのは、物販のECだけではない。料理の出前などをネットで頼む、いわゆる「サービスEC」も日本より普及している。人気レストランがいつも混んでいるので、出前アプリが登場、TSUTAYAのように充実した映画レンタルが可能な店が少ないのでスマホで鑑賞、信頼できる家事代行従事者の紹介所があまりないので、定評のある家事代行アプリを利用したり……。

このように、スマホの普及によって、不満が多かったところに一気に先端的なサービスが導入される「リープフロッグ現象」が至る所で起こっている。スマホをとおして提供される商品・サービスが充実していくことが、中国のスマホ社会化をさらに加速させているのだ。

スマホ社会が成り立つのは、ハードとしてのスマホが普及しただけでなく、ソフト面の急速な充実があったからだ。心地よく生活するために手放すことのできない便利なアプリが次々、数え切れないほど生まれたのだ。

中国では若者の就職環境が厳しい。転職が当たり前なので企業は経験豊かな人から採用し、その分、新卒の就活は非常に大変だ。特に優良な会社の採用枠は非常に限られているので、名門大学の学歴や留学経験、さらにはコネなども含めて、いくつかの条件をクリアしない限り、就活のスタートラインに立つことさえ難しい。

良い会社に入っても、前回の記事(中国の「不動産バブル」は、なぜ冷めないのか)でも述べたように中国都市部の不動産は高騰が著しく、自力でマンションを買うことは夢だと言っても良い。つまり、特に優秀な人にとって、一生懸命勉強していい大学を卒業しても、結局マイホームさえ買えない将来が待っている現実は、悲惨そのものだと言えた。

しかし、スマホが普及したことが彼らに希望も与えた。

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