深圳の「薬の自販機&遠隔診療機」が凄すぎる

中国のIT進化は伝統産業にも浸透している

康美のもう1つの特徴は、バリューチェーンの川上から川下までをほぼ自社で管理する垂直統合を目指していることだ。良品計画、ユニクロ、アップルなどと同じである。

近年、多くの企業が水平分業を進め、「バリューチェーンのこのステージに集中し1番になろう」という「ステージ特化志向」が強い。一方、中国企業は、どちらかと言えば、「垂直統合志向」、川上から川下まで事業範囲を広げ、関係分野はすべて自分の分野とすることで、大企業となることを好む。

これは、中国の社会環境に関係ある。中国の場合、地域で風土と慣習が違うため、標準・規則の格差が激しい。また、他の会社との取引はリスクが高い。そこで、垂直統合を進めることが多い。これにより、品質管理の徹底やビッグデータの活用も期待できるし、バリューチェーンの各部分の課題を迅速に把握でき、改善しやすい。

康美は、川上の生薬栽培を管理することやオンライン取引所を所有することにより、価格と生産量を見ながら、農家への指導を行い、適切な時期に作付けさせることで、需給のバランスを取りつつ市場を安定化できる。病院を所有することにより、患者のビッグデータの活用、ニーズ把握ができ、次のビジネスにつながる。

薬の生産だけではなく、個人データと疲労レベルを診断してからマッサージモードを設定するスマートマッサージチェア、前述の「スマート薬房」、健康食品、レストランなど患者と多面的にコンタクトを持つことで、便利さを認識させ、一般消費者市場でもブランド力向上が期待できる。

つまり、「ここに入ったら一生の健康のことをおまかせください」という勢いだ。

日本の伝統的産業も見習う点は多いはず

康美を代表とした中国の伝統的産業のメーカーは、競争の激しい中国で生き残るため、懸命に進化している。国の「インターネットプラス」政策を背景に、今までできなかったこと、前例はないが今ならできることに積極的にチャレンジしている。

また、マーケティング・マイオピア(近視眼的マーケティング)に陥らず、消費者の根本ニーズに立ち返り、関連業界に進出しようとする姿勢もよく見かける。

日本の伝統的企業は中国では非常に尊敬されているが、時代遅れ、または「もっとインターネット等を活用したら良いのに」と思われるところもある。

日本企業は、伝統、自社の「芯(コア)」を守りながら、新たな発展を目指していくのが、今後の課題だと思う。中国企業の例が参考になればと願う。

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