日本人が知らない中国深圳「爆速進化」の凄み

若者にとって深圳は夢のような起業の天国だ

中国・深圳の電脳街、華強北街にあるビルの中はいくつもの業者がひしめき合っていた(2018年5月、筆者撮影)

現在、日本のメディアが、中国の発展、特にIT産業の急成長に目を向けている。その中で、「中国のシリコンバレー」と呼ばれる深圳市が特に注目されている。香港に近く、人材が豊富で、サプライチェーンの川上から川下までの企業がそろっているため、短期間で電子製品をデザインし完成させることができる場所だ。

昔はパクリや摸倣をする企業が多かったが、今はHUAWEI、ZTE、テンセント、ドローン大手のDJIなど国際舞台で脚光を浴びる会社を次々と輩出している。また、若者起業の天国とも呼ばれ、多数の若者が一発大成功する夢を持って押し寄せているのだ。

日本の政府系や企業の経営者、管理職層の深圳見学ツアーがブームになり、「深圳はすごい、日本も早く追いつかないと」という風潮が見受けられる。ただ、注意しなくてはならないのは、そのまま深圳の「成功」ややり方をコピーできないことである。とはいえ、コピーはできないが、オープンイノベーションの振興と起業を促進しようとする日本にとって、学ぶべき価値は高い。今回は、深圳発展の特徴および日本企業の向き合い方をお話したい。

作坊から始まった深圳の大成功

よく知られている話だが、人口数万人の小さな漁村から1400万人の大都市に成長し経済特区になった深圳。1980年代、何もない土地から始まったのは、電子機器の部品作りだった。香港に近い強みを発揮し、当時から先端的な電子機器の下請けやその「パクリ」工房が林立した。

品質が玉石混交で工房の規模も小さかった。中国語では、このような手作業が多く、規模が小さい、品質管理不在、品質保証もできかねる、流行りモノだけを作り、何かあるとすぐ「生まれ変わる」ところを「作坊(zuofang)」という。普通はおもちゃや洋服の生産する工房を指している。

深圳に広がる電脳街は華強北駅の周辺(筆者撮影)

しかし、作坊だといっても、商人気質の中国人にとって良い入口である。

中国各地から集まってきた若者(多くは学歴が低く、家も貧乏)は、知識ゼロの状態で電子機器の作坊に(ほとんど親戚や友達の紹介で)入り、少しの技術・ノウハウを手に入れ、人脈を作ったのちに、独立する。

給料をもらうサラリーマン生活を続ける限り、一生低収入のままだと考えているからだ。

故郷を離れ、新天地で出世したいなら、独立するしかない。彼らはもっと大きな企業の下請けになることで、製造レベルを向上し、会社の競争力を高める。

そこで、単なる下請けの生産だけでは満足できない。B2B市場やB2C市場のニーズに対し、自分の商品の出番があるかどうかを常に探している。また、業界に詳しい専門企業に提案され、新商品の生産に乗り出すかどうかを判断する。

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