日本人が知らない中国深圳「爆速進化」の凄み 若者にとって深圳は夢のような起業の天国だ
今月(5月)、深圳市を視察しに行ったときに会った、典型的な「深圳の夢」を叶えたAさんもその一人だ。
Aさんは20年前、高一のとき中退し、貧しい故郷を出て深圳で夢を追いかけた。彼はこの20年間さまざまなところで電子製品の生産、販売に携わり、香港、イギリスの会社と提携していた。今は独立し、収入はまだまだ深圳では「成功者」と言えないレベルだが、学歴もおカネもコネもない一人の男が、35歳で、深圳の一等地にオフィス5件を持ち、外車数台を持てるのは、「すべて深圳のおかげだ」と言う。
成熟した日本社会に、Aさんのような人はどのぐらいいるだろうか。
深圳の発展に対して感じた日本社会全体の課題
グローバル化の影響もあり、今の日本は変わりつつあると思う。ベンチャーに就職する若者、起業する若者が増えていると実感している。ただ日本では、兼業・副業がまだまだ幅広く認められておらず、安定志向が依然として主流である。
また、新規事業を進めるなかで、百発百中を求め、失敗を許さない、あるいは失敗した社員を重用しない傾向がある会社も多いだろう。これは若者のチャレンジ意識を抑制しているのではないだろうか。夢を持っている若者―つまり日本の将来―を支えることは、日本社会全体の課題だろう。
作坊でスタートした深圳は地理・政策・タイミングなどの相乗効果からできた「奇跡」であり、同じことを日本でも起こすことは難しい。しかし、日本企業にとって、最適なプロトタイプ作りの場所として重視すべきである。
その際、中国人と付き合うことが必要となるが、信頼できるパートナー、しっかり管理できる現地社員の確保と抜擢が考えられる。
また、新規事業に対する考え方も、もっと学ばなければならないことだろう。失敗は当たり前、失敗は次の成功につながるという「度量」を持つようになるのが、日本企業のイノベーションの最初のステップであるかもしれないし、そうしないと、若者や社員のチャレンジ精神を引き出すのが至難の業であろう。
今はまだ好例が少ないが、今後のIoT時代では、深圳のものづくりの強みと市場のニーズに敏感という特徴、米国流のビジネスアイデアの発想、日本の商品細部までのデザイン力が必須となるに違いない。深圳、シリコンバレーを代表とする米国、日本との連携ができれば、きっと「とんでもない」商品が出てくるだろう。
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