なぜお受験では「紺のスーツ一色」になるのか 共働き親から見たら「パラレルワールド」

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服装が均質になってしまう理由は…(写真:namussi/iStock)
新聞記者を辞めた後、会社員と女性活躍に関する発信活動とバリバリ働いてきた中野円佳さん。ところが2017年、夫の海外転勤により、思いがけず縁遠かった専業主婦生活にどっぷり浸かることに。教育社会学の大学院に所属し子育て意識の調査も手掛ける一方、自身が当事者になることから見えてきた「専業主婦」という存在、そして「専業主婦前提社会」の実態とそれへの疑問を問い掛けます。

共働き家庭にとっての「3歳の壁」について前回(予想外の「3歳の壁」に母たちが動揺するワケ)扱ったが、子どもが成長していった先には、「小1の壁」、学童がなくなる「小4の壁」、その後には中学受験が控えている。共働きゆえに早めに安心できる内部進学式の学校に入れてしまいたいという親もいる。

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しかし、お受験の世界は甘くない。政府が女性活躍を打ち出し、企業はダイバーシティ&インクルージョン(多様性と個の尊重・包摂)をうたう中、ここはさながらパラレルワールド。そんな動きはどこ吹く風で、まるで反対の価値観が根強く残っている。

全身「紺」づくめ

私の息子は、2歳で都内にある保育園を卒園した。その園は2歳児までしか預からない小規模保育園だったからだ。3歳から通える保育園を探したが、待機児童が多い地域であり、定員に空きがあるとは限らない。公立幼稚園は抽選で落ちたので、転園できる保育園が見つからない場合に備え、念のため、私立の幼稚園を受験しに行った。

受験の日、試験会場の入口に足を踏み入れて、思わず、たじろいだ。受験しに来ていた母親たちが全員、紺色の服を着ていたのだ。父親も多数来ていて、全員黒っぽいスーツなのだが、母親は本当にびっくりするくらい、例外なく紺。黒やグレーもいない。慌ててどこかに服装の規定があったかと見直したが、特にない。子どもたちも紺色のお洋服に、白い靴下、黒い靴。わが家だけが私がグレーだったり子どもがトレーナーだったりと、浮いた格好で乗り込んでしまった。

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