さほど教育熱心ではない親も巻きこまれる?
書店にたくさん並んでいる、幼児向けの「育児書」。それには、いろいろな“流派”がある。
さまざまな立場の研究者のものや、実践者のもの、若干あやしいものまで内容は実にさまざま。ビジネスサイドから早期教育や習い事を推奨しようとするものもあれば、「早期教育は必要ない」「子どもは遊びから最も多くのことを学ぶ」ということを強調する発達保育の研究者もいる(たとえば、内田伸子『子育てに「もう遅い」はありません』など)。
近年、とくに話題になった育児書といえば、ジェームズ・J・ヘックマン『幼児教育の経済学』がある。「幼児期への投資が最も効率的」として日本でも話題になったが、曲解されている面もあるかもしれない。これはアメリカでの社会的コストの面から貧困層の底上げについて指摘する内容であり、個人が子どもに早期教育を受けさせたほうが経済的に成功しやすいと推奨するものではないし、日本の状況にあてはまるとも限らない。
それでも、子どもが3~4歳になってくると、途端に親たちの間に浮上してくるのが「習い事熱」だ。ベネッセが行った「第5回 幼児の生活アンケート」調査(2015年)によると、3歳児の3割、4歳児の47.8%、5歳児の71.4%、6歳児にいたっては82.7%が何らかの習い事をしている。スイミング、英語、ピアノ、幼児教室や公文、その他スポーツ……と、専業主婦家庭に聞けば週5、土日もいれて週6が習い事で埋まっていることも少なくない。
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