「週5で習い事」の教育過熱はなぜ起きるのか

時間のない共働き家庭も巻きこまれていく

認可外の園などを中心に、習い事的なプログラムを売りにする保育園も出てきている。なぜ専業家庭にとどまらず、共働き家庭までが習い事に傾注していくのだろうか。

私は、熾烈な保活を終えてとりあえずは就学前の保育場所を確保できた親たちが、ふと「保育園に任せきり」でいいのかと疑問に思い始めるのが、子どもが幼稚園児の年齢になって、過去の自分や周囲の幼稚園児の生活との比較が出てくる3歳児前後のころなのだと思う。そのうえ、昨今は待機児童対策によって保育園の数が急増し、その過程で保育の質が低下している懸念もある。

以下、もう少し前述の幼稚園への転園を検討した親の発言を見てみよう。

「(今の保育園は)おもちゃは充実しているんだけど、外遊びが少ない。あとお昼寝でほとんど寝ていなくて、1時間ぼーっとしてるみたいな話も聞いた。刺激のある環境にうつしてあげたいという気持ちがある」(保育園から幼稚園に転園)

土地のない都心に保育園が急増するなか、近隣にある公園を園庭がわりとし、園庭を保有しない認可保育園も増えている。そのことも多くの親に「体操教室(あるいは体操がプログラムに組み込まれている園への転園)」を考えさせる要因になっていそうだ。

「保育園は延長保育があり、給食も出るので助かります。保育士さんも一生懸命です。でも園庭がないし、プールもない。午前の30分くらいしか外で遊べておらず、男の子には体力的に物足りない」(保育園から幼稚園に転園を検討)

「住んでいる地域は、認可保育園でもマンションの一室だとか、庭がないのがスタンダード。その環境に長い時間預けることに納得ができず、いろいろ探す中で幼児園がいいなと。小学校みたいにグラウンドやプールがあり、スポーツのプログラムも毎日ある。送迎のバスがあり、19時まで預かりもある。オプションでスポーツのスクールもあります。体を動かせる環境があるということが大きい」(保育園から幼児園に転園)

皮肉な調査結果

実は、運動指導をやってくれる幼稚園よりも、特にやっていない幼稚園のほうが子どもたちの運動能力が高いといった皮肉な調査結果(杉原隆ら『幼児期における運動発達と運動遊びの指導』など)もある。大人の指示どおりに動く運動指導は、順番を待つ時間も長い。それぞれに好きな遊びに熱中していたほうが運動量が多くなる可能性があり、習い事的なプログラムがある園のほうがいいとは限らない。

にもかかわらず、親たちは「習い事をやってくれる園」に魅力を感じる。なぜかというと、「好きな遊びに熱中させてくれる」環境というもの自体が、意外と得難いからだ。

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カーリング人気萌芽の時代から、平昌五輪での銅メダル獲得まで戦い抜いてきた著者。リーダーとして代表チームを率いつつ、人生の一部としてカーリングを楽しめるにまで至った軌跡や、ママさんカーラーとして子育てで得た学びなどを語る。