女性の育児や仕事など、女性の問題ばかりが取り上げられるこのご時世。しかし、男だって「男ならでは」の問題を抱えて生きづらさを感じています。男が悩むのは“女々しい”!? そんなことはありません。男性学研究の精鋭、田中俊之先生がお答えします。
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最近、スポーツ界のパワハラ問題がよくクローズアップされています。体育会系の社会はいわゆる「男らしい」社会なので、「男らしい」振る舞いの人が上へ行きやすい構造があるのかもしれない、と思って見ています。
一方で、権力を持った男性が必ずしも「男らしい」振る舞いをするかというとそうではありませんよね? メディアなどでお見掛けする一般企業の社長さんなどは、比較的温和なイメージです。それは「男らしく」振る舞うアドバンテージのない業界だから、というのもあるかもしれませんが、社会的に成功していることで「男らしさ」の承認欲求がすでに満たされているからではないか、とわたしは思います。
連日ニュースでお見掛けする、とあるパワハラ問題のスポーツ関係者の方は非常に「男らしく」振る舞う方でした。わたしは男性的な権力欲が満たされた男性は、男性性にこだわらなくてもよくなるのではないか、と思っていたので非常に不思議でした。
男性性を一般化できないことは重々承知していますが、「男らしさ」を手に入れた男性が「男らしく」振る舞う意味ってなんなんでしょうか? 男性学的な知見から、ご意見を聞きたいです。
スポ根とらしさ
男性が「男らしさ」を証明する方法
まずは落ち着いてください。
連日、メディアをにぎわせているスポーツ界のパワハラ、そして、#me tooをきっかけに改めて世間の注目を集めたセクハラといった問題は、被害者が男性であれ女性であれ、例外はあるにせよ多くの場合、加害者は男性です。
権力を持つ男性の言葉や行動に対して厳しい視線が送られる今日、どうして男性がこうした振る舞いをするのかを考えるために、「男らしさ」に目を向けることには大きな意義があると言えるでしょう。
男性学の知見によれば、男性が「男らしさ」を証明する方法は、「達成」と「逸脱」、この2つです。
達成とは、一流企業への就職や有名大学の合格など、社会的に認められた価値を実現することです。逸脱とは、たとえば中高年の男性でよくあるケースとしては、残業や連続勤務、あるいは不健康自慢のように、一般から外れた行為をするによって自分のすごさを誇示しようとすることです。
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