日本中の注目を集める日本大学アメリカンフットボール部の危険タックル問題。危機管理の世界では「不始末よりも後始末」ともいわれ、不祥事そのものを防ぐことも重要だが、起きた時の対応こそがもっと重要であるというのが常識だ。
ところが、これでもかという「最悪の後始末芸」を次から次へと繰り出し、「燃料」を投下し続ける日大側の対応には、驚かざるを得なかった。まさに日本の危機管理広報の歴史を塗り替える「大炎上」事案へと発展したといえるだろう。
すべてにおいて後手後手の対応、トップがコーチや選手に責任を押し付けてほっかむり、ピンクのネクタイ、相手の大学名を言い間違える、そして、司会者の木で鼻をくくった喜劇的な対応・・・、日大側の対応はツッコミどころ満載だ。
多くの人々の義憤を誘う格好になったワケ
ただし、こうした切り口からの分析は他の記事(参考:日大は、どこで判断を間違えてしまったのか)でも行われているので、本稿では細かく触れない。しかし、なぜこうまで注目を集めるのか。
そもそも、発端としての反則プレーが、動画という形で残され、何十回となく人々の目に投影され続けたことに加え、上記のような様々な致命的なしくじりが重なったこともある。
さらに、 危険タックルを行った日大選手(以下「加害選手」)の会見と翌日の日大側の会見が、あまりにも対照的だったことも人々の心証に影響を与えたことだろう。
加害選手は潔く非を認め、自ら実名と顔を出して、誠実に事実関係を説明した一方で、昭和枯れすすき世代の日大トップ層は必死になって悪あがきを続けているーーというわかりやすい構造が多くの人々の義憤を誘う格好になったのだ。
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