広報担当が会見でさらした日大の「問題体質」

動物行動学で読み解く「あの組織」の正体

内田正人監督(手前)、井上奨コーチの会見内容ばかりでなく、司会者にも批判が殺到している(写真:共同通信)
本記事は第1・第3水曜日にコラム「ソロモンの指輪〜『本能と進化』から考える」を書いている蟹分解さんによる番外編です。

 

日本大学アメリカンフットボール部の悪質な反則問題が、連日話題を呼んでいる。本質的な問題は、世間の称賛を集めた当事者である日大選手の勇気ある会見の後も、日大ならびに日大アメフト部側は実質的にこれを否定し、いまだに原因究明がなされていない点にある。今後、問題は大学統治のあり方に進む可能性もある。

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さて、この事件には、人の本能行動の観点から注意すべき事象が複数見られる。今回はあえて、事件発生原因とは別の興味深い現象を取り上げたい。内田正人前監督・井上奨コーチの記者会見における日大広報部の司会対応である。

この司会対応は、記者会見の場という性質上、マスコミにすでに複数報道され、事件そのものと同様にweb動画が広く公開されている。閲覧者に強い印象を与えるものである。

司会者は、会見の後半から「やめてください、やめてください、一人で何個も聞かないでください。」「やめてください、打ち切りますよ、会見!」「これで会見を打ち切ります」といった発言を何度も繰り返し、報道陣と対立した。会見の終了近くには、「これで会見を終わります」「記者会見これで終わります」「十分に聞きました」「これだけ聞いたら十分です」、さらに、「違う質問をします」と言う記者には、「違うのを言えばいいもんではありません」などどいって拒絶した。

この広報部対応が、日大の自浄能力の欠陥を如実に表し、さらにブランドを貶めているとの批判が広まりつつある。

不合理な行動の背景に「組織防衛本能」

さて、この司会行動に合理性はあるか。わざわざ記者会見を開いて、マスコミにケンカを売るような言動を行うメリットは極めて考えにくい。さらに司会者は、(記者会見を視聴者が)「見ていてもいなくてもいいんです」という発言までしている。これでは、何のための会見か、目的が不明であるから、理屈で考えて彼の行動を正当化するのはほぼ不可能である。

無理に考えれば、世間の批判を自身に引き寄せることで、コントラスト効果で主人公である前監督とコーチの悪印象を薄めようとしたという動機がありうるが、このような作戦自体がリスキーであり、また、そういう意図にしては不合理な言動が多すぎて、そのようには考えにくい。

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