女性の育児や仕事など、女性の問題ばかりが取り上げられるこのご時世。しかし、男だって「男ならでは」の問題を抱えて生きづらさを感じています。男が悩むのは“女々しい”!? そんなことはありません。男性学研究の精鋭、田中俊之先生がお答えします。
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会社の中でもう耐えられない思いをしております。ご存じのとおり会社は上昇志向があるか、上昇志向があるフリをしないと生きていけないようにつくられています(多分どこも多かれ少なかれそうだと思います)。
しかし、私の観察するところ強い上昇志向を持つ人ほど会社に搾取されているようにみえます。さまざまな業務をすべて言われたとおりにやれば、約束どおりに出世はするのですが、さらにそこで強い搾取に遭うのです。本人もうすうすわかっているのですがやめられないのです。これは、会社の構造に起因するのはもちろんですが、上昇志向をやめられない、いわば上昇志向中毒はどこから来るのでしょう。
猿山のボス猿争いの構造は会社の中にあって、やむをえないものなのでしょうか。争いは勝手にやってもらうとして、それには参加しないで、平和に心豊かに無駄な仕事が回ってこないように生きていくことは、われわれにはできないのでしょうか。なんでこんなとばっちりを受けねばいけないのかということはいっぱいあります。さらに会社自体が内部の無駄な競争で倒れそうでもあります。
ちなみに私個人は上昇志向があるフリをしてなんとかしのいでいるのですが、もちろんのらりくらりですから、これもなかなかつらい立場にあります。見る人がみれば、ばれてますから。
(匿名、男性)
ワークライフバランスという言葉が流行してから10年
まずは落ち着いてください。
匿名さんの絶望はよくわかります。「働きすぎ」が社会問題として議論されるようになったのは、過労死が注目された1980年代後半のことです。ワークライフバランスという言葉が流行してから、すでに10年が経過しました。
言葉は浸透しても、長時間労働は相変わらずです。2013年には、ブラック企業が新語・流行語大賞のトップテンに入りました。しかし、いまだにブラック企業はなくなっていません。
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