34歳「触れ合える」動物園を処す男の快活人生 香川の「しろとり動物園」が教える命の大事さ

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現在、香川県唯一の動物園として知名度も上がっている。

お客さんの8割は他県から来ている。大阪、神戸、岡山などから来園する人が多い。

しろとり動物園では移動動物園もしているので、それで存在を知って足を運んでくれる人も多いという。

「30年以上私営の動物園を続けてきて、『命って大切だよ』と感じてもらえる動物園になれたかなと思います。

もちろん、至らない点もあります。気づいたときはぜひクレームを入れていただきたいですね。クレーム自体は嫌だとは思わないんです。具体的な提案はぜひしていただきたいです。なるべく改善していきたいですから。民間の動物園なのでむしろ柔軟に対応できます。いっそ手伝ってほしいくらいです。寄付もしていただきたいです。もちろんすべて動物のためだけに使わせていただきます

動物園の本来の役目である、保護活動や貴重な動物の保存にも力を入れていく(筆者撮影)

そして、ここから先、動物園として新たに目指すこともあります。動物園の本来の役目である、保護活動や貴重な動物の保存にもこれからは力を入れていかなければならないと思っています」

日本国内では、ここ10年でアフリカゾウはいなくなると言われている。研究者と連絡を取り、種の保存の手伝いができるように情報交換をしている。

また世界的に数が激減しているトラの繁殖も、ほかの動物園や施設と助け合いながら続けていければいいと思っている。

「ゾウは開園当初からいて、兄弟のように思っています。できるなら、子孫ものこしてあげたいですね」

動物園同士のつながりは強くなってきた

昔に比べ、動物園同士のつながりは強くなってきたという。スタッフ間のやり取りや、情報交換がやりやすい環境になったと実感することが多い。

「25~26年前は『うちの動物園の情報は、ほかの動物園には教えません』という感じがありました。

今はとても恵まれた環境になっていますね。たとえば導入事例がない動物を飼うときは、実績のある動物園に話を伺いたいですよね。繁殖に関しての技術に関してもそうです。そんなとき、素直に質問すると、答えてくれることが多いです。基本的にはみんな動物好きで、動物が幸せになることをしてあげたいと思っている人たちですからね」

しろとり動物園がほかの動物園にお願いされることもある。

しろとり動物園は会長がサーカス出身だったため、動物を移動する技術に長けている。ほかの動物園の、トラやライオンを移動させる仕事を請け負うケースも多い。

温かい気持ちになる動物園(筆者撮影)

SNSを使って交流することもあるという。

しろとり動物園のゾウがケガをして治療のメドが立たなかったとき、写真を撮りフェイスブックのメッセンジャーでほかの動物園に質問をした。「うちはこうして治療しましたよ」という答えがすぐに来て、事なきを得た。

「僕は生まれてからずっと動物園で動物に囲まれてきました。動物園業界は、僕が幼い頃には商業的だった部分が、どんどん人間味あふれるものになっているという印象があります。業界的に豊かになってきていると感じますね」

しろとり動物園には、これからも訪れると温かい気持ちになる動物園であり続けてほしいと思った。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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