34歳「触れ合える」動物園を処す男の快活人生 香川の「しろとり動物園」が教える命の大事さ

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「ならば、しろとり動物園は『はじまりの動物園』になればいいと思いました」

動物園には、種の保存、環境保全、教育、などの意味がある。しかし子どもたちに「環境が悪化してゾウが絶滅しそうなんだ」と教えても、なかなかその真意は伝えられない。ただ「ゾウがいなくなるんだ」と思うだけだ。

深く考えられるのは、中学、高校生になってからかもしれない。

「まずは動物と直に触れ合って『動物は生きているんだ』ということを実感してほしいんですよ。命の大切さを知ってほしい。とても当たり前のことですけど、とても大事なことだと思います」

多くの動物は触れる距離感にいる

もともとは猛獣以外の動物はほぼ放し飼いで飼われていたが、さくは設けることにした。

ただし、大型動物園のようにしっかりと分けるのではなく、あいまいに設置した。今でも、多くの動物は触れる距離感にいる。

ラマ注意の看板がある(筆者撮影)

従業員は動物と人の間に立って説明をするよう心掛けている。

「お客さんには『危ないから触るな』とは言いません。『こう触ると喜びますけど、こんなふうに触るとかみつかれたり、引っかかれたりしますよ』って説明しています。実際、ケガをして応急手当てをするのは日常茶飯事ですよ。でもそれもまた教育だと思います」

さまざまな動物がいるしろとり動物園だが、子どもたちにいちばん人気があるのは、実はヒヨコだという。

しろとり動物園では常時200羽ほどのヒヨコを展示している。3~4歳の子どもが恐怖感を持たず触れる動物はヒヨコだけだ。

「ギュッと握りしめるとヒヨコはピーって鳴くじゃないですか。僕らも監視してるので『もっと優しく触ってあげてよ』って説明するんですけど、それだとただ単に大人の人に怒られたって感じにしかなりません。むしろ一緒にいる親御さんに『……ということですからね、お父さん、お母さん』と説明します。すると親御さんがお子さんに『包むように優しく触ってやらんといかんやろ』なんて教えてくれるようになりますね」

子どもたちにいちばん人気のヒヨコたち(筆者撮影)
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