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ビジネス #100年企業 生き残りのお作法

日系ホテルの雄・帝国ホテルの130年続く流儀 受け継がれる渋沢栄一の「創業の精神」

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  • 山口 亮 帝国データバンク 東京支社情報部取材編集課
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「あの時の対応は、現場のスタッフが自分たちで判断して行ったものです。フロントのスタッフはカウンターに携帯電話の充電器を準備したり、調理部でも翌朝に野菜スープを作ってご提供したりしたのですが、開業以来のDNAが受け継がれていると感じました」と、当時総支配人を務めていた定保社長は振り返る。

2つの震災は、不思議と帝国ホテルの節目と重なった。

しかし東日本大震災後は、自粛ムードや節電に伴う経済の停滞、原発事故の風評による訪日外国人の減少などが帝国ホテルの業績にも影を落とす。「直後のゴールデンウイークはロビーにほとんど人がいない状況でした。稼働率も半分どころか3~4割程度の時期が続きました」。定保社長がこう話すとおり、2012年3月期当時の連結売上高は486億7800万円と500億円を割り込んだ。

そんな中、2012年に48年ぶりに日本で開催されたIMF・世界銀行年次総会のメイン会場に帝国ホテルが選ばれ、世界中から集まった関係者が滞在。「ほぼ貸し切り状態となった」(定保社長)という。当時、来日したIMFのラガルド専務理事も、その運営やもてなしについて「すべてが予定どおりに進み、非常にスムーズだった」と高く評価していたという。

帝国ホテルのエントランス。これまで、多くの賓客を迎え入れた(写真:帝国ホテル)

公共交通機関など、日本は時間に正確といわれているが、「日本のよさや実力をアピールするうえでよいきっかけになった」と定保社長も胸を張る。その一方で、「京都や横浜なども含め、大規模な国際会議の開催は増えてきていますが、シンガポールなどほかのアジア主要都市と比べるとまだまだ」という。「大規模な国際会議は経済効果も大きいですから、官民一体となった誘致は必要不可欠です」。まさに、この官民の「民」、民間外交を担っていくということが、帝国ホテル開業以来の社会的使命となっている。

顧客の国内:国外比率における「50:50のバランス」

そして翌2013年3月期には売上高は再び516億円3300万円に回復。それまでもバブル崩壊や新型感染症SARSの流行やリーマン・ショックなど外部要因に左右されながらも、着実に立て直してきた帝国ホテル。それを可能にしてきたのは、顧客の国内:国外比率における「50:50のバランス」(定保社長)だという。

「東日本大震災後の原発事故の際も、海外からのお客様が大幅に減少しましたが、この時に支えてくださった国内のリピーターのお客様の存在が非常に大きかったです」と分析。「この50:50のバランスは今後も維持していきたい」と話す。

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【東京オリンピック・パラリンピックを控え】

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