ごま油の国内シェア50%以上を占めるナンバーワン企業、かどや製油(以下、かどや)。黄色のふたに、独特のくびれがある瓶は、食卓で定番の存在だ。
その創業は、今から159年前の江戸時代末期の安政5年(1858年)、徳川幕府が日米修好通商条約に調印した年にまでさかのぼる。
そうめん名産地・小豆島に生まれた「かどや製油」
そんな幕末に、瀬戸内海に浮かぶ香川県の小豆島の地で生まれたのが「加登屋(かどや)製油所」だ。「かどや」の名の由来は、「創業時の店舗と工場が交差点の“角地”にあったため」というのがうそのような本当の話。
小豆島では、昔から「手延べそうめん」作りが盛んに行われてきた。このそうめん作りに欠かせない材料のひとつが、ごま油だ。麺を滑らかにし、栄養価を高めて保存しやすくするために、長年ごま油が用いられてきた。手延べそうめんの名産地であった小豆島だからこそ、かどやという会社が生まれたといえる。
こうして関西では親しまれてきたかどやだったが、関東では知名度が乏しい。そこで、昭和32年(1957年)には、小澤商店(同製油所の東日本地区の代理店。現小澤物産株式会社)と共同で出資し、株式会社として加登屋製油株式会社を設立。東京・品川に本社を置いて事業の拡大を図った。
東京に拠点を移した今なお、かどやは小豆島にある大規模工場ただ1つで生産を行っている。採算を考えれば、効率が悪いのは間違いない。ただ、同社の小澤二郎社長は「この地で頑張ってきた先達たちの思いを大事に、たとえコストがかかっても、それを取り返すだけの利益を上げればよいと考え、これまで走り続けてきた」として、老舗企業としての“余裕”を見せる。
もっとも、BCP(事業継続計画)の観点から1工場体制に対するリスクを心配する声も少なくない。このため、「彼らの信頼を勝ち取るためにも、小豆島以外の場所での第2工場の建設も、近い将来、具体化する可能性は十分ある」(小澤社長)。
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