「北海道のコメダ」が抱える地元定着への課題 熱しやすく、冷めやすい道産子との向き合い方

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これのミニチュア版を、北海道でもやる手はある。2年前、東札幌五条店開店前の朝礼では、当時の店長がこんな話をしていた。

「いよいよ、待ちに待った北海道1号店のオープンです。店舗ビジョンは『北海道の憩いの場』ですが、3つの柱を再確認してください。①商品を輝かせる、②お店を輝かせる、③人が輝くです。笑顔での対応、よろしくお願いします」

3年後に「エルムが招く」か?

少し経営の話もしよう。2008年に創業者が全株式を投資ファンド=アドバンテッジパートナーズ(AP)に売却し、2013年、APが所有する全株式を別の投資ファンド=MBKパートナーズに売却したコメダ(コメダ珈琲店の運営会社)を、今でも「投資ファンドの会社」と思っている人は多い。だが現在、投資ファンドの持ち株はゼロだ。昨年までに全株式を市場で売却して経営から手を引いた。つまり現在のコメダは、自由な取り組みが可能だ。

ただし、コメダの全店舗数約800店のうち、98%がFC(フランチャイズチェーン)店だ。そのため店舗スタッフは、FCの運営会社の従業員であることが多い。これまでのコメダは、ある意味、FC店の創意工夫で“コメダブランド”を築いてきた。だが長年同社を取材する立場では、最近は本部社員が「サラリーマン化」したのも気がかりだ。そうした意識を変えて、北海道のコメダをさらに活性化できるかも期待したい。

昭和時代、大学の合格電報が華やかなりし時代、北海道大学を受験した時の合格電報は「エルムハマネク」だった。道内の初夏の風物詩であるエルム=楡(にれ)の木が招くという意味だ。コメダの企業業績は依然として好調だからこそ、「北海道のコメダファン」定着に向けて動き出す、いい機会だと思う。そうしないと3年後に「エルムが招く」保証はない。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)がある。

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