「北海道のコメダ」が抱える地元定着への課題 熱しやすく、冷めやすい道産子との向き合い方

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コメダ珈琲店という「業態」には熱い目が注がれる。国内店舗数約800店のうち、98%がFC(フランチャイズチェーン)店のコメダには、「道内では、元パチンコ店や文具販売店など異業種からの参入も相次いでいます」(北海道新聞記者)。外部オーナーがFC店を開業する初期投資額は多額になるが、朝7時から夜11時までの長時間営業の店が多く、安定収益も期待できる。立地場所によっては「短期滞在する集客施設」の魅力も大きい。

「名古屋流」の浸透は道半ば

2年前の開業当時、店の外の特設テントでコメダ名物「コーヒーチケット」も販売された。コーヒーチケットは、電車の回数券のような役割で、コメダの場合は1冊7~9枚つづり(店により異なる)。

コメダのコーヒーチケット(写真:コメダ)

使い切れば520円~最大760円オトクにドリンクが飲める。「コーヒー」とつくが、メロンソーダやコーラなども注文できる。開業当日は「それなりに売れるが、中京地区の新店初日とは売れるレベルが違う」と話していた。2年後も状況は変わらない。

「コーヒーチケットが浸透した中京地区に比べれば、使用率は高くないですが、金額をチャージできる『コメカ』も含めて常連客の方は使われます」(梅崎氏)

とかく「合理的」といわれる名古屋人、特に中京地区の常連客は、喫茶店を利用するときも合理的だ。もともと喫茶好きの気質に加えて、チケットを使い切れば、ドリンク1杯分以上が “タダ”になるため、頻繁に活用してオトク感を高める。かつて、名古屋地区の個人経営の喫茶店の多くは、居酒屋のボトルキープのように、回数券キープがあった。店が常連客の回数券を預かり、会計時にそれで精算したのだ。今でもやっている店もある。

一方で、朝の時間帯にドリンクを頼めば無料でつく「モーニングサービス」は、札幌っ子にも定着した。新聞・雑誌が無料で読み放題なのも浸透し、それを楽しみに来店するお客も多いという。東札幌五条店の現状では「名古屋流」は道半ばで、道内のほかの店も大差ないと聞く。現地の文化を踏まえつつ「北海道流」を繰り出す手もあるだろう。

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