日本人女性の声は、なぜこうも「高音」なのか

地声を出さず、高音化に弾みがついている

──しかも、声は社会によって作られるのですね。

社会によって作られる一方で、声によって社会を作っていくところもある。人は話すときに聴覚で自分の声を確かめながら発声する。同時に周囲の音すべてを聞いて、周囲の音に自分を適合させることで、声の個性が決められていく。

たとえば大家族でつねに大声が飛び交う家で育てば、大きな声や響く声の出し方を身に付けることになる。逆に静かな環境で育てば、大きな声を出すことが必然的に少なくなるので、小さな声で話すようになるだろう。

日本人女性の声の高さは世界一

──声で感情や体調もわかるとか。

山﨑広子(やまざきひろこ)/音楽・音声ジャーナリスト。日本音楽知覚認知学会所属。国立音楽大学卒業後、複数の大学で心理学・音声学を学んだ後、認知心理学をベースに人間の心身への音声の影響を研究。学校教材の執筆も手掛ける。著書に『8割の人は自分の声が嫌い』など。(撮影:田所千代美)

慣れてくると声でウソつきもすぐわかる。前日飲酒したかどうかも声に出るし、女性の場合、生理ばかりでなく妊娠も声に出る。声は脳と体を使って出すものだから、その人のすべて反映してしまい、隠しようもない。

──日本人女性の声は高いとも。

多くの国で調べてきたが、声の高さは世界一だ。それも本来の地声よりも高い声を作って話す。地声はそれほど高くはない。最近は体格がよくなり、声帯が短いわけもなく、本来は落ち着いた低い声が十分に出るはずが、それを隠して作り物の高い声で話す。

中国人の声も高い。もともと中国語は一つの母音に対して、七つや九つの発声音があったりする。ちょっとしたことを一言話すにしても、その中の音程変化が大きい。日本語はそうではなく、比較的抑揚は落ち着いている。

最近の日本人女性は、本来なら230〜240ヘルツで話すべき抑揚を300〜350ヘルツの高いところに持っていく。これは不自然。

──女子校に行くと実感できる?

小学生からそう。小学生はまだ声道が短く、声帯も未発達のところがあって、初潮を迎えるあたりから落ち着いた声になってくるはずが、最近の子はそうではない。社会的にかわいい女性を求められ、男性の顔をうかがっているためか。バブルの時代にぐっと低くなったが、21世紀に入ってからどんどん高くなっている。

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