日本人の個人金融資産は50%が現預金。2015年までの20年間で資産増加率は1.5倍だった。一方、ファイナンシャルアドバイザー(FA)が普及し、資産運用が生活の一部となっている米国人は3.1倍と日本の倍以上。人生100年時代、年金減額も想定される中、日本人も“おカネに働いてもらう”感覚を本気で身に付ける必要がありそうだ。『投資信託 失敗の教訓』を書いた独立系ファイナンシャルアドバイザーの福田猛氏に聞いた。
──投資信託で損する人が多い?
つみたてNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)など非課税制度が広がっています。どちらも中身は投資信託。でも日本では投資信託で「損をした」という声が多くて、いまだ印象が非常にネガティブ。なぜうまくいかない人が多いのか。損する理由はいろいろあるんです。
米国は「運用しないと損」という感覚が普通
──日本の投資信託の平均保有期間は大体2年だとか。
「北朝鮮が」「トランプが」で株価が動き、怖くなって短期で売ってしまう人が多い。現役世代の資産形成の王道は積立投資で、10年20年と長期でやるもの。積立投資では価格が下がるとその分毎月買う量が増えるから、むしろラッキーなんです。そこでやめたら、せっかく量を仕込める相場環境なのにもったいない。ネット証券で取引している人などは冷静に制止してくれる人も仕組みもないから、3年目くらいでドッと離脱する。
米国では多くの人がFAをつけて長期で資産運用し、実際に成果を上げています。401k(確定拠出年金)とかいろんな制度があって、給料から自動的に積立金が引かれていく。ITバブル崩壊時やリーマンショック時も積み立てを継続して量を増やしていたから、莫大な資産運用効果が得られている。そうすると、「運用しないと損だよね」という感覚が普通になっていく。
──日本ではFAは富裕層のもの、一般人には無関係と思いがちです。
米国には30万人の独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)がいます。証券会社と業務提携し、その取扱商品を案内して販売する。IFAには証券会社から手数料の一部がキックバックされるので、別途相談料などはかかりません。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら