「保険に入れば老後は安心」は、間違い!
今回の相談は、3歳のお嬢さんがいらっしゃる大崎さんご夫婦の「保険」と「教育費」についてのご相談です。夫の聡さん(32歳・仮名)は会社員。5歳年上で妻の真希さん(37歳・仮名)は会社経営をしています。
お聞きすると、勧められるままに7つも保険に入っていて、十分に貯蓄ができないとのこと。読者の皆さんは、「さすがに7つはないでしょ!」と思うかもしれませんが、そこは「断り下手」の日本人。こうした大崎さんのようなケースは、決して少なくないのです。もう1つは、保険に入っていれば漠然と「老後は安心だ」と考える人が多いこと。今回は、この考えが間違っていることも、数字で見ていきましょう。
まず、大崎家が加入している保険を見てみましょう。そのうえで、「人生設計の基本公式」に合わせて、条件を整理してみます。人生設計の基本公式とは、連載の初回「あなたの人生におカネはいくら必要なのか」でも説明しましたが、初めての方はもちろん、誰でもすぐに人生のマネープランがわかる公式なので、毎回復習しましょう。
ひとことで言えば、老後を「65歳以降」と定義したうえで、「現役時代の何割の水準で生きるか」を決め(平均は7割)、現役時代(たとえば65歳)までに貯めるべき「必要貯蓄率」(手取り収入に占める割合)を割り出すことです。イメージをつかむには前々回の記事「あなたは65歳までにいくら貯めればいいのか」をお読みになると、30秒で自分が貯めるべき額もわかるし、すぐにコツがつかめると思います。
さて、大崎家は「7つの保険」に加入しているということでしたが、月々どれくらいの金額を払っているのでしょうか。
・ 夫婦それぞれの「収入保障保険」と「医療保険」(計4つ)
・ 聡さんの2つの「終身死亡保険」――2つはまったく同じ商品で保険金額と払込期間の違うもの(1つは45歳払込満了・保険金額450万円。もう1つは60歳払込満了・保険金額720万円)
・ 真希さんのがん保険
なんと、7つの保険の「保険料総額」は年間約55万円。特に高いのが終身死亡保険で、2つ合わせて月当たりにすると2万5000円以上、年間で約35万円も払っています。終身死亡保険になぜここまで払っているかというと、掛け捨てではなく、貯蓄の機能もあるから、ということでした。
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