岩城:「払い済み」という方法があるにはあるのですが、この保険がそうできるのかどうかはわかりません。「払済保険」というのは、保険料の払い込みを中止して、その時の解約返戻金を元に、保険期間を変えないで、一時払いの養老保険や元の契約と同じ種類の保険に変更することです。保険金額は小さくなりますが、そのまま運用は続けられて満期に保険金が支払われます。特約はなくなります。
しかし、一定額の解約返戻金がないとできませんし、払済保険にできないものもあります。保険約款(ほけんやっかん)という保険契約の内容を定めたものがあるのですが、まずは、それで「払い済み」についてどう書かれているか確かめましょう。
真希さん:わかりました。調べてお伝えします。でも、この終身死亡保険が当てにできないとすると、娘の教育費はどう貯めていけばいいですか?
おカネを使途目的によって色分けする必要はない
岩城:「教育費のため」とか、「老後資金のため」とか、おカネを目的によって分ける必要はありません。大切なのは、必要貯蓄額を貯められる家計にすることです。お嬢さんの進路はどうお考えですか?
聡さん:できれば中学受験をさせたいと思っています。
岩城:中学から大学まで私立に通った場合の学費の目安は、文系で約1377万円です。そのうち、大学の授業料が約680万円です。
教育費の考え方として理想的なのは、高校までの学費は、毎月の支出からまかないます。大学の学費は、貯蓄の中から支出します。大学の学費はこれまで毎年上がってきていますから、やや多めに700万円として必要貯蓄率を計算してみましょう。
考え方はこうです。今おふたりが持っている貯蓄は500万円ですから、現在貯蓄額から大学にかかる700万円を引いて「−200万円」として考えると、平均手取り年収800万円に占める必要貯蓄率は22.69%(年間約182万円)に上がります。塾代や月謝を支払いながら、必要貯蓄率分の貯蓄ができる家計にしなければなりません。そうしないと、結果、老後のためにおカネが貯められなくなって、困ったことになります。
ただ、この貯蓄率では大変だと思えば、貯蓄率を下げることができます。たとえば、現在、計算上の老後の生活費は、月約36万8000円です。今現役時代の70%に設定している老後生活費率を10%下げると、老後に使える毎月の生活費は約32万7000円に減りますが、必要貯蓄率も16.42%(年間約131万円)に下がります。貯蓄率の検討をしながら、この終身死亡保険をどうするか考えましょう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら