日本人が「資産運用」ができない根本理由 欧米人は普通にFAを活用している

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AI(人工知能)関連ファンドとかテーマ性の人気商品に一括で投資しようとすると、今が高値のピークになっていることが多い。専門家が上がると言い始めたら、下がると考えるのが無難です。

分散投資では相場が逆に動くものを組み合わせる。かつては株と債券で分散効果が利きましたが、今はポートフォリオにオルタナティブ運用というのを入れます。簡単にいうとヘッジファンド。ヘッジファンドはもともとリスクを回避するファンドだから、株や債券とは価格の動き方が違うんです。

普段はほったらかし 相場の話はいっさいなし

──金融知識のない個人がポートフォリオを組むのは難しそうです。

「投資の信託 失敗の教訓――成功の秘訣は『相場を予測しない』」(福田猛著/プレジデント社/1600円+税/236ページ)

だから米国人はFAと相談してポートフォリオを組み、給料からコツコツ積み立てる。ちゃんと理屈にかなったやり方で長期で取り組めば、資産形成は誰にでもできる。ただ、貯まった資産を安定的に運用する方法でみんな悩む。ここは専門家に相談しながらやる領域だと思うんですね。日本人同士の会話は「キミ、運用してるの? してないの?」だけど、米国人の会話は「キミ、どういうポートフォリオを組んでるの?」です。運用をしてることが当たり前なんです。

──銀行に預けるよりマシ程度でなく、やはりゴール設定は必要?

ゴールは定めたほうがいい。それに向かってリスクを最小限に抑えた最も安全なルートで戦略が練れる。ゴールなしでやろうとしたら、「何が儲かるかな」とマーケットベース思考に陥り、正しい商品選択は不可能になる。無理のないリターン目標の一つの目安は、年平均利回り4%程度。ただ、一人でその戦略を立てるのは難しい。裁判で弁護士をつけずに闘ったり、重病を医者に頼らず自分で治すというのと一緒ですから。

──資産運用、資産形成という概念自体が、日本ではまだ一般に浸透していない気がします。

僕らが考える資産運用は、ゴールを定めて、それに向かって戦略・ポートフォリオをしっかり組んで分散させ、長期で継続すること。相場の話はいっさいなし。リーマンショックが来ようが何が起きようが長期の目標を見据え運用を継続する、理にかなったものです。資産運用は体で覚えることが大事。60歳でおしまいじゃなく、70、80歳になっても継続すべきです。

中村 陽子 東洋経済 記者

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なかむら ようこ / Yoko Nakamura

『週刊東洋経済』編集部記者

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