知っておきたい「破産」にまつわる基礎知識 会社にバレずに生活を立て直すことは可能だ

✎ 1〜 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
破産は免責という大きなメリットもある一方でデメリットも大きいため、 破産するかどうかはよく考える必要がある(写真:Rawpixel/iStock)
こんにちは、弁護士の宮川舞です。「なんとなくはわかるんだけど、実際のところ法的にはどうなの?」という話題を取り上げていくこのシリーズ。企業の業績は堅調であっても、非正規雇用の方の雇止めが社会問題化するなど、依然先行き不透明なこのご時世。今回は、「知っておいて損はない、破産にまつわる豆知識」です。

まず大前提として、破産の簡単な説明を。

会社でなく個人の破産とは、「借金などの債務を負っている人がそれらを返せない場合、裁判所を通じて、その人の一切の財産を債権者に公平に弁済し、破綻した生活を立て直すことを目的としている制度」のこと。でも、破産手続だけでは、債務はなくなりません。前述の、公平に弁済するという破産手続を経ても残っている債務がある場合、その残っている債務の法的な支払い義務を免除する制度が「免責」です。裁判所が免責を許可した場合、債務の法的な支払い義務はなくなります。でもこれは例外もあるので要注意。最後のほうの項目も読んでくださいね。

破産すると会社にバレる?

「借金をなくして生活を立て直したいけど、破産したことが会社にバレたら困る、嫌だ」という方、かなり多いです。破産すると会社にバレるのでしょうか?

勤務先に対して、借入れなどの債務がある場合には破産したことがバレます。でも、こういった債務がない場合には、普通はバレません。

この連載の一覧はこちら

裁判所が特定の個人について破産手続を開始するという決定をすると、債権者に対し決定がされたことを書面で通知するのです。そのため、勤務先からの借入れなどの債務がある場合には勤務先も債権者ですから、勤務先にも書面で通知がいくことになり、破産したことがバレるわけです。でも、勤務先に対して債務がない場合は、裁判所が勤務先に対し破産手続開始について通知することはありません。

全部の財産を持っていかれたら生活できない……そんなことはありません。弁済のために持っていかれない、つまり処分しなくてよい自由財産というものがあります。

次ページ弁済の対象から外れる財産もある
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事