銀行カードローンの異常な膨張に募る危機感 個人融資に傾注する銀行、監視強める金融庁
金融庁が銀行カードローンへの監視を強めている。9月20日には、三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクに対して立ち入り検査に入った。銀行カードローンの急速な伸びに対応して、すでにメガバンクや地方銀行などに幅広く、立ち入り検査を行うと発表していたが、あらかじめ宣言して立ち入り検査に入るというのも異例のことだ。
キャッシュカードの感覚で借金してしまう人も多い
銀行カードローンは銀行の窓口や無人契約機などで簡単に手続きができ、無担保で使い道自由。残高は増え続けており、2017年6月末時点の残高は5兆6793億円。前年同月比に比べて8.6%の増加、5年間で1.6倍に膨らんでいる。簡単な手続きでカードが発行され、一度作ってしまうと銀行やコンビニのATMなどで簡単に現金が引き出せるために、キャッシュカードの感覚で借金してしまう人も多い。
金融庁は、毎年9月15日前後に「金融レポート」を発表しており、現在の金融市場の問題点などを指摘することになっている。本稿執筆時点(9月26日)では、まだ発表されていないが、その中で銀行のカードローン残高の急激な増加について言及される可能性が新聞報道などで指摘されている。
金融庁がメガバンクへ検査に入った目的は「利用者保護の浸透」であり、「過度な広告宣伝」や「融資獲得が行員の評価基準になっていないか」などがチェック項目とされる。
銀行の業者団体である「全国銀行協会(以下、全銀協)」も、カードローンの審査基準を厳しくすることを加盟行に要請。多重債務者の発生を防ぐよう各銀行に要請している。さらに全銀協では、加盟行のカードローンの融資残高を集めて、毎月公表していく方針を打ち出している。
これまでは、日本銀行が各行から報告をまとめて3カ月ごとに公表しているが、この10月にも全銀協が都市銀行、地方銀行、第二地方銀行といったカテゴリー別に公表することになっている。
個々の銀行でも、三井住友銀行は4月から源泉徴収票など収入証明書の提出基準を、融資額300万円以上から50万円以上に変更。みずほ銀行や三菱東京UFJ銀行は、融資額の限度額を年収の3分の1以下に引き下げる、と主要メディアで報じられている。
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