銀行カードローンの異常な膨張に募る危機感

個人融資に傾注する銀行、監視強める金融庁

金融庁の動きに呼応する形で、これまで銀行のカードローンが売りとしてきた「即日融資」も、この10月以降から消えていく運命をたどりそうだ。来年以降、警察のデータベース(DB)への照会を実施するために、早くて翌営業日、遅ければ2週間程度かかるといわれている。

暴力団などの反社会的勢力との関係を断つのが狙いのひとつだが、全銀協が窓口になって警察回線と結び、審査を厳格化することになりそうだ。少なくとも、2018年以降は現在のように簡単に銀行のカードローンをつくることができないことになりそうだ。

銀行カードローンは一度申し込んでカードを受け取ってしまえば、銀行やコンビニのATMから1000円単位で簡単に借金ができてしまう。時間外にATMでおカネを引き出しても、時間外手数料を100円負担すればいいから、24時間いつでも好きなだけ借りられる。

複数枚の「カードローン」を使っている利用者も、意外と多いのではないだろうか。最初は、限度額10万~20万円程度だが、特に問題もなく使い続けていると、いつの間にか限度額が引き上がる。

上限引き上げの審査はない

実際に、銀行によっては20万円からスタートしても、最大200万円程度にまで限度額が上がる。中には1000万円の限度額が設定された人もいるようだ。その間、収入の審査があるわけでもなく、銀行からの一方的な通知によって限度額が引き上げられる。

しかも、返済は融資金額に応じて毎月1万~3万円程度の定額返済で済むために、あっという間に限度額いっぱいの借り入れになってしまう。金利は年2~15%未満と幅広いが、融資金額が200万円以下であれば年10~11%台。100万円借りていれば、年間10万円以上の金利を支払うわけだ。

それでも返済時の金額が低いため、あまり気にならない。結局、いつの間にか数十万円、数百万円の借金ができてしまう。

個人向けローンといえば、多重債務問題が社会現象となった歴史があり、2010年に施行された「改正貸金業法」によって、消費者金融に対しては融資金額の上限を「年収の3分の1以下」と定められた。

その後、個人の自己破産件数はずっと減少をたどってきたにもかかわらず、2016年になって13年ぶりに増加。2015年に6万3856件(司法統計)だったが、2016年には6万4037件とわずかだが増えた。その要因が銀行カードローンだとみられている。というのも、銀行は「改正貸金業法」の施行後も「年収の2分の1」まで融資が可能で、過剰債務を抱えやすい構造にあったからだ。

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