「サブリースで大損した人」がハメられた手口 悪質なサブリース業者を見極めるには
2015年1月の相続税法改正などにより相続税の節税対策として多くの貸家が建設されてきたことで、首都圏のアパート空室率は3割を超える「危険水域」にある。
一方、銀行は相変わらず賃貸アパートの建築資金をまかなうためのアパート融資に積極的で、今年3月末の融資残高は22兆4000億円に上っている。これには、金融庁も警鐘を鳴らしているが、ハウスメーカーなどが強引にアパート建築建設を迫る例も少なくない。
中でもトラブルが頻発しているのが、サブリース契約だ。サブリースとは、不動産管理会社などが住宅を一括で借り上げ、それを転貸するというもの。住宅所有者の多くは経営や管理などをすべて管理会社に任せながら、契約期間中は決まった金額が家賃収入として入ってくる仕組みだ。所有者側の手間が省けるため魅力的に聞こえるが、悪質業者と契約し、最悪の場合、自宅を失うという例も出てきている。
親はもちろん、自分自身が泣く羽目にならないよう、悪質サブリースの手口と対策を知っておいたほうがいいだろう。
高齢単身者が危ない
「1人暮らしにこの家は広すぎるでしょう、古いから寒いでしょう。建て替えてアパートにしたら相続税は安くなるし、家賃はお小遣いになる。ローンは全部入居者さんが払ってくれるから安心。きっと息子さんも喜びますよ」――。
このところ、相続税対策でアパートを建てる寸前までいったという人たちから、こうした口説き文句を何度も聞いた。悪質営業に、特に狙われやすいのは高齢単身者だ。ありがちなのは、手土産を持った営業マンが日参し、高齢者などの「話し相手」のなる例。時には電球の交換をしてくれる営業マンもいるそうで、当事者からは「いい人だったのよ」という言葉も漏れるほどだ。
信頼を得た後は、ハッキリと「ノー」を言えないところに付け込んで、「考えてみてもいいわね」と言ったら最後、見積もりや設計図といった具体的な資料を持参し、断りにくい状況に持ち込む。最終的には「考えてみるとおっしゃったから用意したんですよ」「もう断れません」と畳みかけ、徐々に契約せざるをえない状況に持ち込んでいくのである。
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