最新番付!「CSR企業ランキング」トップ700社 1位は4年ぶり2回目のNTTドコモ、2位も同業

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2位も同じく通信大手のKDDI(569.0点)で昨年3位から上昇した。人材活用12位(94.8点)、環境28位(95.9点)、企業統治+社会性4位(98.8点)、財務8位(279.5点)とバランスよく得点したが、ドコモとわずかの差で2位となった。

CSR活動のマテリアリティに「多様な人材の育成による活力ある企業の実現」を掲げ、事業活動の基本に「人」を置いている。育児のための短時間勤務、始業時間の繰り上げ・繰り下げ、時間外労働の免除・制限などを子が9歳に達する日を含む年度の3月31日まで取得可能。介護休職が対象家族1人につき365日まで取得可能といった各種ワーク・ライフ・バランス制度は充実している。

「KDDIサプライチェーンCSR推進ガイドライン」を公開し、取引先へ周知。調達先監査・評価も行い、サプライチェーン全体でCSR調達に取り組んでいる。開発途上国への技術移転の一環として通信技術専門家を派遣し、各国の通信事情の改善に寄与する「社会課題解決」も幅広く行い、「企業統治+社会性」の高得点につながった。

環境分野の取り組みも多い。携帯電話基地局で太陽光発電や蓄電池を組み合わせてCO2排出量の30%低減を目指している。インドの絶滅危惧種ガンジスカワイルカ保護を東京大学、九州工業大学と協同実施。生態観測に用いる音響観測装置や技術を提供している。

より高いレベルの社会課題の解決を行う会社が並ぶ

3位は昨年2位から1つランクダウンしたブリヂストン(567.6点)。人材活用46位(90.7点)、環境3位(98.6点)、企業統治+社会性8位(97.7点)、財務7位(280.6点)といずれも高得点だった。

もっとも順位が高かったのは環境。2020年までに2005年を基準とした全製品の原材料調達、生産、流通、製品廃棄までの全過程でのCO2排出量を売上高当たりで35%低減を目指している。国内5工場、2研究施設で太陽光発電を導入するなど再生可能エネルギー利用も進める。原材料調達でのグリーン調達は包括的なガイドラインを定めて実施。水資源の確保に向けて拠点ごとに取水削減活動を推進するなど環境活動のレベルはトップクラスだ。

事業活動をベースにした社会課題解決にも積極的。インドネシアの自社グループ農園周辺で火災等により消失した国有林に、環境的・経済的に持続可能な混交林(パラゴムノキを含む)を造成し、2016年までで累計57haの森林回復と地域住民の自立に貢献。ほかにも現地の高校卒業生を受け入れる職業訓練学校をインドネシアで運営。自社人材の育成だけでなく地元の技術向上にも貢献している。

従業員向けにも「ボランティア休暇制度」や合計3年間を限度とする「ボランティア休職制度」を幅広く用意。社会との接点を持とうという意識は強い。グループ全体のリスク管理活動責任者に執行役員が就くだけでなく各事業部門・SBU(戦略的事業ユニット)単位にも同様の責任者を任命。リスク管理を全社で推進する体制を確立するなどガバナンス面も進んでいる。

4位は昨年と同順位のコマツ(563.5点)、5位は昨年9位からランクアップした花王(561.1点)。6位は昨年まで3年連続1位だった富士フイルムホールディングス(558.3点)。傘下の富士ゼロックス(8位、554.8点)に不適切会計問題が起き、内部統制が有効でなかったことなどで、企業統治+社会性部門の評価が低下した。現在、グループ全体のガバナンス体制の改善・再構築に取り組み中だ。

富士フイルムのように一時的に問題が出るケースもあるが、ランキング上位は「信頼される会社」として必要なCSR活動を実施しつつ、より高いレベルの社会課題の解決を行う会社が並んでいる。

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