日本における地方公務員は274万2596人(2017年4月1日現在)。自治体ごとに給与体系は異なり、給与額トップ1位の自治体と最下位の自治体では、倍以上の開きがある。今回は、地方公務員の平均年収が高い自治体トップ500をお届けする。
ランキングは、総務省が発表している「地方公務員給与実態調査」(2016年度版)に基づいている。諸手当を含む平均給料月額の12カ月分に、期末手当と勤勉手当を加えて算出。地域差が大きい寒冷地手当は含めていない。都道府県と市区町村の職員の平均給与額を1つのランキングにして開示した。
なお、平均給与は各自治体の平均年齢に大きく左右される点には留意が必要だ。一般的に年功序列型の賃金体系が用いられている地方公務員であれば、年齢が高いほど給与も高くなるからだ。
熊本地震の影響で顔ぶれに変化
2016年度は、熊本地震の影響で残業時間(時間外勤務手当)が増えた熊本市、大分県竹田市、熊本県八代市が上位3位を占める結果となった。平均給料月額は2016年4月を基準に算出されているため、熊本地震のあった2016年4月は特に時間外勤務の多かった月と推測される。そのため、表記年収額は参考値であることに留意されたい。
上位3自治体を除くと、上位には財政余力が高く、生活費も高い都市部が並ぶ。昨年1位の神奈川県厚木市は4位となったが、平均年収は3万円アップし740万円となった。昨年同率1位の東京都武蔵野市は5位、昨年4位の東京都は6位につけ、上位をキープしている。
順位を大きく上げたのが兵庫県神戸市。昨年は17位で715万円だったが、今回は7位728万円にアップした。同市は2016年度から主に民間賃金の高い地域に勤務する職員に支給される「地域手当」を改定したことなどにより、給与増につながった。
東京や大阪、名古屋などの都市部は物価も総じて高いため、地方都市で上位にランクインしている自治体の公務員のほうが生活にはゆとりがありそうだ。都道府県や政令市の給料は相対的に高い傾向がある。
調査対象の自治体は1788で、全自治体の平均年収は584万円だった。2017年9月に発表された2016年度の民間給与実態統計調査結果(国税庁)によると、民間の給与取得者の平均年間給与は421万円。また、全上場企業の平均年収は602万円だった(2016年8月期から2017年7月期の有価証券報告書による)。公務員の給与水準は民間の上場企業未満、民間企業全体以上と言えるだろう。
なお、今回はトップ500自治体のランキングを発表したが、近日中に地方公務員年収ワースト500自治体のランキング公開も予定している。