女性を「グループ」として扱う日本企業の偏見 先進的企業は「個人差」に着目している

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──若い世代の価値観に合う社会を設計せよ、と。

ジェンダーは社会的に作られた性差。女性人材の浪費が進む社会を作ってはいけない。同一労働同一賃金と言いながら、一方では非正規雇用者が増え、女性が家庭に残っていくような仕組みを作っている。もちろん大学まで行ける女性たちは静かな革命で救われるが、そうではない女性たちが結構いる。それが問題だ。

ジェンダー革命の進行が遅れると経済が活性化していかない。中でも独身女性の貧困問題は深刻だ。女性は従来、若いときは父親、結婚してからは夫に依存するという「家庭依存モデル」に頼ってきた。現代は実態が変わり、その狭間で貧困が生み出されている。むしろモデルの前提をきちんと変えなければいけない。個々人の責任にする前に、モデルの考え方、そして社会のあり方を変えていく。現在胎動している新しいモデルに沿えば、貧困問題も違った解決の方法が見えてくるはずだ。

個性が発揮できる社会に向かって

──時代が変わった?

私の世代までは、男尊女卑は変わるわけがないと、「静かに扱う」対象だった。だが、今はそうではない。セクハラ、パワハラがここまで認知されてしまうと、告発もどんどん出てくる。会社は配慮義務違反になるばかりでなく、女性たちが私も言いたいと発言を始める。いったん事が起これば、会社そのもののブランドが揺らぐかもしれない。

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──企業の認識は遅れている?

企業は女性をグループとして見がちで、どうしても偏見を持ってしまう。むしろ個人差に着目してほしいものだ。P&Gなどの例をこの本では引用したが、双方向のコミュニケーションで、互いに気をつけながら、相手との違いを認識し、摩擦をうまく解消していくことだ。

──男女差ではなく、個人差なのですね。

ただし、子供を産むのは女性であり、まったく同じではない。今も性別役割分業が色濃くあるが、最終的には潜在能力を最大限発揮してもらう。それこそが企業が欲しているものだろう。見えざる偏見を取り去って、個人・個性で見る。ダイバーシティ&インクルージョン。その核が相互コミュニケーションだ。男だ女だではなく、何より個性が発揮できる社会に向かって進んでいってほしいものだ。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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