「1人7万円」のベーシックインカムは可能か AIがBIの導入を促進?

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給付を得ないとやっていけない人はまだ少数にとどまるが、AIが普及して仕事を失う人が増えたときには…(写真:Flatpit / PIXTA)
来る「脱労働社会」となるAI(人工知能)時代には、BI(ベーシックインカム)導入が不可欠だという。『AI時代の新・ベーシックインカム論』を書いた駒沢大学経済学部の井上智洋准教授に詳しく聞いた。

格差の拡大を改善するには、BI導入が不可欠なのか?

――格差の拡大や貧困の増大を改善する手段として、ですか。

BIつまり「政府がすべての人に、必要最低限の生活が保障される額のおカネを無条件に支給する」制度の導入が早晩必要になると予測している。

──インドに先進的な動きがあるとも。

最も早く導入しそうな国がインドとフィンランド。フィンランドは失業者2000人規模で実験をしている。北欧諸国はどこも政策先進国だけに先陣を切ると思っていたら、今年に入ってインドがいち早く2年後に実施すると発表した。インドは高額紙幣をなくしてキャッシュレス化に進んだり、フィンテックといった金融のIT化でも中国に次いで本格化させたり、政策先進国入りを促進している。BIの導入を政権与党が主導して少なくとも1州で始める。

このほかにオランダでも実験は盛んだ。異色なのは米国で、ベンチャー企業が実験しているが、導入するにしてもかなり先だろう。

──日本で導入するとすれば1人月額7万円給付が妥当なのですか。

国民全員に最低限の生活が送れるだけのおカネを配るとなれば、今なら7万円が妥当と思っている。会社を辞めない額で、同時に最低限の生活の助けになるぎりぎりを考えると、7万円かなと。3人家族だったら、7万円×3人の21万円。4人家族だったら28万円もらえる。厳密な根拠があるわけではないが、たとえば合計30万円、40万円になると仕事を辞める可能性も強まるし、逆に家族全体で1ケタ万円ではさすがに生活は厳しい。

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