「衰退途上国」日本の平成30年史を振り返る リベラルはなぜ新自由主義改革に賛同したか
改革という改革は全部失敗だった
中野剛志(以下、中野):今の日本を「衰退途上国」と呼ぶ人がいるようですが、言い得て妙ですね。
佐藤健志(以下、佐藤):平成が始まったのは1989年。今年は平成30年です。この30年間を振り返って一言でまとめるなら、「良くて停滞、悪ければ衰退」の時代だったのではないでしょうか。経済がこれだけ長期にわたり、停滞したか、あるいは衰退しているというのは、明治以降の日本では初めてのことでしょう。
特に戦後は、1950年の朝鮮特需を皮切りに、約40年にわたって経済発展が続いた。それが突然、ギアが反対に入ったかのごとく、ずるずる落ち始めたのです。なぜそうなったのかを理解せずに、日本再生がありうるとは思えません。平成の停滞・衰退をもたらしたものは何か、これはきわめて重要なテーマだと思います。
中野:同じ停滞でも、改革派の人たちが主張するように「政府や政治が何も手を打たなかったためにこうなってしまった」というなら、まだ救いようがある。しかし現実はそうではなかった。
冷戦終了後、あるいはバブル崩壊後に、「日本はこれから抜本的に変わらなければならない」ということは政治の世界でもメディアの世界でもうるさいほど言われてきた。自民党政権から非自民連立政権に交代した1993年頃から、改革ブームが始まった。橋本政権も、細川政権も、小泉政権も「明確なビジョンと意志をもって、日本という国のあり方を根本的に変えなければいけない」と言っていた。安倍政権もそうです。
その意味で平成とは、「つねに改革を叫び続けた時代」であったともいえます。「このままではいけない。何もやらず座して死を待つのではなく、世界の流れを分析して主体的に、抜本的に改革を行わねばならない」と言い合い、決断し、改革しようとした。
しかしその結果がこうだった。結局のところ、日本の停滞を打ち破ろうとして平成に行われた改革という改革は全部失敗だったわけです。
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