「若者が出世を望まない」心境の裏にある本質 自分だけが前に出るのをよしとしない文化も
「管理職になっても責任や負担ばかりが増え、見返りもなく、将来も保証されない」――。
12月6日に配信した「20~30代が出世を望まなくなってきた本質」には多方面から反響が寄せられました。
拙著『“誰も管理職になりたくない"時代だからこそ みんなでつなぐリーダーシップ』でも詳しく解説していますが、若い世代の出世に対する違和感、抵抗感が近年、強まってきています。ただ、彼らへのヒアリングをしていくと、その根幹には人の上に立って、人を動かすリーダーという存在そのものへの疑問とともに、自分たちがそうした人間になれない、なりたくないという気持ちがあることもわかってきました。
目立つこと、上に立つことは重要と思っていない
リクルートマネジメントソリューションズが3年おきに実施している「新人・若手の意識調査」によると、新人、若手社員が「働く上で重視することは何か」という質問の中で、「世間からもてはやされること」「責任者として采配がふれること」が他項目よりもポイントの極めて低い2項目になっています。目立つこと、上に立つこと自体が働くうえで重要だという意識は低いということがわかります。
60カ国の研究者が協力して実施している「世界価値観調査(2010~2014)」によると、日本人の若者たち(29歳以下)が世界の中で突出して自分から踏み出していくことや、リスクがあってもチャレンジすることに対して慎重になっている姿が浮かび上がってきます。
「新たなアイデアを考え出すこと、創造的であること、自分のやり方でできることが重要だ」という質問には60カ国平均が78.9%に対して、日本の29歳以下は45.9%しか肯定的な回答をしていません。「冒険することやリスクを冒すこと、刺激的な生活をすることは重要だ」という質問には60カ国平均が62.3%に対して、日本の29歳以下は22.8%と極端に低くなっています。
ほかの設問についても日本人の回答率が全体に低めに出ていることは考慮しなければなりませんが、それでも日本の若者が前向きに動き出す姿勢が、ほかの国よりも劣っていると見られても仕方ないような回答率になっているのです。
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