女性を「グループ」として扱う日本企業の偏見

先進的企業は「個人差」に着目している

──どのようなデータに反映しているのですか。

端的なのが、共働き社会化が強まって、女性の年齢別就業率のグラフがM字から台形に変化を始めていること。今までの、結婚はマストであり「せねばならない」という風潮が終わりつつある。結婚したいと思ってはいるが、同時にしなくてもいい。していなくても、同じ人生価値があるとの考え方になってきた。

大沢真知子(おおさわ まちこ)/日本女子大学現代女性キャリア研究所長。1952年生まれ。米南イリノイ大学でPh.D.(経済学)取得。米コロンビア大学研究員、米シカゴ大学フェロー、米ミシガン大学助教授、日本労働研究機構研究員、亜細亜大学教授などを経て、96年から現職(撮影:今 祥雄)

──結婚が仕事を辞める契機ではなくなった?

辞める理由は、アンケートでは仕事が合わない、希望を持てないなどが多い。中でも、氷河期世代以降の女性でその答えが増えている。日本の場合には、初職の入社時点では仕事に希望を持っているが、しだいにモチベーションが下がり、初期のキャリア形成に問題があることが示されている。

仕事の割り振りや昇進のスピードに男女差のあることが、1つの原因であるようだ。同時に、女性の転職がしやすくなった現実もある。キャリアアップしている女性は、かなり早くに見切りをつけて、ステップアップのために資格を取る。キャリアビジョンをはっきり持つと、継続就業だけでなく上手なキャリア形成もできる時代になってきている。

一人ひとりが自立して生きられる社会に

──少子化対策も変わるのですか。

女性に産むためのインセンティブを与えるのではなくて、どういう人生を生きてもペナルティが科されない、その中で一人ひとりが自立して生きられる社会にすることが、結局、子供を持ちやすくする。いずれ結婚してもいいが、一人でも育てられる選択肢が、安心して子供を産み育てられる社会を作る。それで成功したのがフランス。家族の形を柔軟にとらえたら、出生率が上がっていった。

日本では特に自己責任が強調される。それが生きづらさにつながっている。何かあって貧困になっても、社会が二重三重に自立を支えていく。子供を社会で育てていくという形でサポートする。そういう仕組みをまず整えたうえでこそ、自己責任の世界は成り立つ。子供を持ったりパートの形で働いたりするほうが税金は安いといった「異形の政策」を続けるのは、人材の浪費につながり、また子供を産みにくくしている。

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