日大アメリカンフットボール部の選手が無防備な関西学院大の選手に後方から悪質なタックルをして負傷させた試合があったのは5月6日のこと。それからこの問題は日を追うごとに炎上・延焼を続け、連日のように会見が行われています。5月25日午後には、日本大学の大塚吉兵衛学長が緊急記者会見を行いました。
会見前に1人の女性が乱入し騒然とした雰囲気となる中、大塚学長は「選手は本当に真摯に自分の考えを述べていた。内田正人前監督、井上奨コーチの発言との齟齬(そご)については第三者委員会で調査中で、訴えられている点もあるので、ここで私が言うことは差し控えます」と話し、何か他人事のような口ぶりでした。
しかし、この期に及んで、仮にも組織、ましてや大学の長なのであれば、意見を差し控えるべきではないでしょう。内田前監督が試合後に語った「14分の音声テープ」がネット上で公開されているのですから、その内容を知っているはずです。もし学長がそうした点も踏まえて、「個人的には選手側が正しいと思う。私は全力で学生を守っていく立場である」と宣言すれば、どれだけ救われたでしょうか。
彼に人事権があるのであれば、やるべきことは決まっているはずです。いったい何を目的とした会見なのでしょうか。またしても組織防衛が前面に出た、火に油を注ぐような内容に終わりました。
あまりに酷い内田前監督と井上コーチの会見
それにしても、23日に行われた内田前監督と井上コーチ(23日付けで辞任したので、以後は井上前コーチと書きます)の2時間におよぶ会見は、まったく酷いものでした。その前日(22日)の危険タックルを強いられた選手(以下、あえて実名は表記せず「加害選手」とさせていただきます)の、疑いようもなく真摯な会見を受けてのものだっただけに、それは我が目と耳を疑い、次に失望し、あきれた会見でした。
そこには加害選手が、真実を明らかにすることが一番の謝罪と言う思いで会見したのと比べ、前監督と前コーチは「言った、言わない」問題に特化して、選手に責任を押し付ける作戦がありありでした。内田氏は、監督の辞任届は出しましたが、日大ナンバー2の人事権も握る役職は一時停止で謹慎するだけと報道されています。彼は一切の教育の場から身を引くべきです。
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