最近、「おじさん視点」のマーケティングがことごとく炎上し、物議を醸している。若く美しい女性に優しい言葉をかけられ、癒されたい、という中年男性のステレオタイプなファンタジーを、この「ポリティカルコレクトネス」(政治的・社会的に公平・中立的で、差別・偏見が含まれていない言葉を使うべきという考え方)の時代に、忠実に再現し、大いに火を噴いた。
独り善がりのコミュニケーションで、何かと白い目で見られることも多いオジサマたちにとっては、実に世知辛く、生きづらい世の中だ。
今回は、まさにそんな受難の時代を上手にかいくぐるための中高年男性のコミュニケーションの「処世術」について考えてみよう。
サントリーと宮城県PR動画が炎上
7月7日、サントリービールは、新しく発売したビールのPR動画の公開を中止した。「絶頂うまい出張」と銘打たれた動画は、全国各地を舞台に女性のアイドルやタレントがご当地グルメとともに、新商品ビールを味わうという内容で、出張先で現地の若い女性と食事をするシーンの中で彼女たちが発するセリフや態度が性的な連想をさせ、「下品で差別的」という批判が相次いだ。
また、宮城県や仙台市、JR東日本などの協議会が7月5日から実施している観光キャンペーンの一環として制作されたPR動画も物議を醸した。壇蜜さん演じる主人公が、夏の暑さで疲れた宮城のゆるキャラを竜宮城ならぬ「涼・宮城」に連れていき、「殿方に涼しいおもてなしをする」という趣旨のもの。性的なメタファーともとれる表現がてんこ盛りで、低俗だが、村井嘉浩・宮城県知事は「誰も、可もなく不可もなくというようなものは、関心を呼ばない。リスクを負っても皆さんに見ていただくものをと思った」と明言、「炎上商法」と砲火を浴びた。
セクシー路線で話題化を狙う商法はアメリカなどでもよく使われてきた。たとえば、2015年にはアメフトの頂上決戦、スーパーボウルのタイミングで、あるハンバーガーチェーンは女性のセクシーさを前面に出したCMをリリースし、大きく取りざたされた。
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