おじさん目線マーケティングが炎上する必然 サントリーと宮城県の動画、何が問題なのか

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ドメイン管理会社のセンセーショナルなCM

また、スタートアップだった、あるドメイン管理会社はセンセーショナルなCMを多用して注目され、知名度を獲得してきた。両者とも批判の高まりを受けて、この1~2年はお色気路線をトーンダウン、かわいい犬などを登場させるなど方向転換を図っている。

イギリスの広告基準協議会は7月18日、「性的なステレオタイプを助長したり、女性を物として見なすような表現をしたり、健康的ではない(やせすぎなど)体のイメージを美化するような広告を禁止する」ルールを今年中に制定すると発表した。

たとえば、女の子が大きくなりバレリーナに、男の子が科学者になるというイメージのCMやグラマラスなセクシー女優が胸を揺らして登場するCMなどが不適切ということになる。このように、グローバルにみれば、お色気路線は許されにくい趨勢となっているのだ。

そんな空気感に敢然と抗うように現れたサントリーや宮城県の事例は、セクハラおじ様たちの薫陶を受けてきた筆者にとって、「かつてよく見た風景」で、極めて「昭和的」と苦笑せざるをえない。「話題になったのだからそれでよし」と言い切る知事以下男性陣も少なからずいるし、昨今の「言論統制」に対し、反感を覚える気持ちもわかるが、50歩譲って、その「勇気」は認めたとしても、このレベルの「エロ」は小学生の男の子が「ウンチ」や「おしっこ」、「お〇ん〇ん」と言ってウケているのと同じぐらい芸がない。

とはいえ、そもそも男とは「しょうもないことを言いたがり、水たまりを見つければ絶対に飛び込み、高いところには上りたがる、実に単純な生き物である」。そう言ってしまえばおしまいだが、こうやって男性をディスってもそれほど非難はされないが、男性が女性を同じようにステレオタイプに批判すれば、四方八方から矢が飛んでくるし、「セクハラ」だと責められる。「ダブルスタンダードではないか」という不満は理解しないでもないし、男性のそうした「生きづらさ」には少し、同情を覚えずにはいられない。

……などと気の毒に思いつつも、確信犯なのか、単なるKYなのか、こうした独り善がりの「おじさん目線」のコミュニケーションの炎上事例は枚挙にいとまがない。今年の6月、創刊した50、60代の男性向け雑誌『GG(ジジ)』の編集長が、雑誌のインタビューで、おじさん向けのナンパ術として指南した方法が、「気持ち悪い」と話題になった。

「うっとうしい」「キモイ」

「(美術館に行き)熱心に鑑賞している女性がいたら、さりげなく『この画家は長い不遇時代があったんですよ』などと、ガイドのように次々と知識を披露する。そんな『アートジジ』になりきれば、自然と会話が生まれます。美術館には“おじさん”好きな知的女子や不思議ちゃん系女子が訪れていることが多いので、特に狙い目です。会話が始まりさえすれば、絵を鑑賞し終わった後、自然な流れで『ここの近くに良さそうなお店があったんだけど、一緒にランチでもどう?』と誘うこともできる。もちろん周辺の“ツウ好み”の飲食店を押さえておくことは必須です」

ネット上では「うっとうしい」「キモイ」と大ブーイングだったが、そんな「語りたがりのおじさん」は確かに少なくはない。このように、男性が主に女性に対して、見下すように、一方的に解説・助言・説明することを意味するMansplaining(マンズプレイニング、man + explaining=説明する)という造語が最近、日本でも流布している。

アメリカで2013~2014年からはやり出した言葉で、まさにこの「美術館おじさん」のような、自分の価値観を押し付ける独善的なオジサマ族が世界を席巻しているということなのかもしれない。そもそも、右肩上がり時代に年功序列に守られて出世し、サラリーマン街道の先頭を突っ走ってきたこうしたおじさま方は、人の話を聞くのが得意ではないという人が多いように感じる。

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