おじさん目線マーケティングが炎上する必然 サントリーと宮城県の動画、何が問題なのか

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かつて、『話を聞かない男、地図が読めない女』という本がベストセラーになったが、「男性は女性の話を聞かない」というのはよく言われる通説だ。イギリスのオンラインギャンブリング会社が2000人に行った調査によると、男性がパートナーの女性の話を聞くことができるのは6分が限度である一方、別の男性とはスポーツなどについてもっと長く話していられる、という結果だった。また、半分以上の男性が「自分はよい聞き手ではない」と自覚していた。

承認欲求が先走り、ついに自分の話ばかりしてしまう「オレ様系」や、女性はただ聞いてほしくて話しているのに、いつの間にか「ソリューションを提供しなくては」と正論を垂れ、説教モードに入ってしまうオジサマたち、皆さんの周りにも1人や2人、いないだろうか。こういう男性が、女性の気持ちを忖度(そんたく)すると大抵は地雷を踏んでしまう。中高年男性のコミュニケーションが「炎上」してしまう理由。それがまさに「マンスプレイニング」だ。

そこで、「独善的」「価値観を押し付ける」「一方的に話す」と批判されるオジサマも、簡単に驚くほど、コミュ力を改善できる「法則」をお教えしよう。

話す内容には3種類ある

その方法は実に簡単。まず、話す内容に3種類ある、と意識することから始めよう。

(1)主義・主張・自分の考え(一人称)

(2)質問(二人称)

(3)伝聞(三人称)

この3つを入れ替わり順番に織り交ぜていくのだ。(1)は「僕は〇〇だと思う」「僕は××をした」「△△は…………だ」という断定調の発言。中高年男性のコミュニケーションのおよそ8割ぐらいがこの「オジサマの主張」ではないかと推察される。(2)は関心を相手に向け、質問を投げかける場面だ。「で、○○さんはどう思う?」「〇〇さん、最近面白いことあった?」など、いったん主役を譲る気持ちで話を振る。

(3)は(1)のように断定する言い方をせずに、誰かの視点でものを語ること。たとえば、「××で読んだんだけどね」「〇〇さんによるとね」「△△さんは、実はね」といったように、自分を主語にして、一方的な主張を押し付けるのではなく、こういう考え方もあるようだ、こうかもしれない、といった第三者視点を入れた謙虚な物言いだ。本来は(2)の割合を出来る限り高め、相手の話を聞く時間に多くを割くのが理想的だが、まずは、(1)(2)(3)をバランスよくちりばめることを意識しよう。

人は自分が主役になって話しているとき、セックスと同じ快感を覚えるのだという。そんな快楽物質を分泌させるマンズプレイニングの誘惑から逃れるのは容易ではないが、一人称だけではなく、二人称や三人称の視点を意識することによって、会話も人間関係もぐーんとスムーズに感じられるはず。一人語りの隘路(あいろ)にはまり込む前にぜひ一度お試しいただきたい。

岡本 純子 コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師

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おかもと じゅんこ / Junko Okamoto

「伝説の家庭教師」と呼ばれるエグゼクティブ・スピーチコーチ&コミュニケーション・ストラテジスト。株式会社グローコム代表取締役社長。早稲田大学政経学部卒業。英ケンブリッジ大学国際関係学修士。米MIT比較メディア学元客員研究員。日本を代表する大企業や外資系のリーダー、官僚・政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチ等のプライベートコーチング」に携わる。その「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれる。2022年、次世代リーダーのコミュ力養成を目的とした「世界最高の話し方の学校」を開校。その飛躍的な効果が話題を呼び、早くも「行列のできる学校」となっている。

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