若者7500万人が無職にあえぐ世界の暗い未来 超高齢社会の到来は日本だけの問題ではない

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これは非常に深刻な問題だ。2008年の世界金融危機によって奪われた雇用を埋め合わせ、すでに働いている者や、若者も含めてこれから労働市場に参入する者に、生産的な機会を提供しなければならない。そのためには、2025年までに6億もの雇用を新たに創出する必要性があると、国際労働機関では見積もる。

経済に貢献できないという問題のほかにも、若者の失業の蔓延は、精神的な喜びや物質的な充足をその世代全体から奪い取ってしまう。それが高じると社会不安や政情不安を招き、生産力は低下し、経済成長も鈍化する。その影響は長く続く。職に就けない若者は、豊かで充実した人生を送るという希望すら失ってしまう。

ギリシャ財政危機がもたらした深刻な後遺症

職を探す際には「場所」がものをいう。つまり、職のある場所へ移住できなければ職にはありつけない。移住をためらう理由は、自分が生まれ育った町に対する愛着心もあるだろうが、欧米社会においては、公営住宅をめぐる規則や交通の便の悪さにも原因がある。

欧州では仕事のために移住する若者が2.8パーセントにとどまるのに対して、アメリカ国民の約30パーセントが故郷を離れて別の州で暮らしている。言葉の壁、文化の違い、特殊な資格のために他の職業に就けないなど、欧州で移住が難しいのは確かだが、移住を躊躇する理由は公共政策とも関係がある。ユーロ圏では、1年以上にわたって失業手当を支給する国が多い。だがアメリカでは、ほとんどの州で半年しか失業手当を支給しないために、仕事のある州や都市に移住するというインセンティブが働きやすいのだ。

欧州の若者は、近年の経済停滞の影響をまともにこうむってきた。改善しつつあるとはいえ、EU加盟国において25歳以下の失業率は20パーセントを超える。特にギリシャでは、過去50年間に例を見ないレベルの打撃を受けてきた。おおぜいのギリシャの若者が優れた資格を持ちながら、海外で低賃金の仕事に甘んじている。

2011~2015年のあいだに、高い教育を受けた10万人以上の若者が、ギリシャを離れてイギリスやドイツに渡った。ギリシャの経済危機は収束のめどが立たないため、夢を叶えるために故郷を離れる若者は今後さらに増えるだろう。財政危機が6年に及び、ギリシャのミドルクラスのほとんどがかなりの資産を失い、以前のようにわが子の教育費を支払えなくなった。EUの他の国に働くか学びに行った若者は、近い将来、ギリシャに戻ってくる理由を見いだせない。

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