若者7500万人が無職にあえぐ世界の暗い未来 超高齢社会の到来は日本だけの問題ではない

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年配者が長く働くいっぽう、コインの裏側を見るような現象が起きている。若者の失業問題だ。

若者の失業は世界中で蔓延している。その数には驚くはずだ。世界全体で約7500万人の若者が職を探している。アラブ諸国のなかには、16~24歳の失業率が90パーセントに達する国もある。アメリカでは23パーセント。スペインとギリシャでは約50パーセント。イギリスでは22パーセント。世界的に見れば、ワーキングプアの4人にひとりが若者であり、質の悪い仕事に就いて、将来の希望が持てない状態から抜け出せない。学校を卒業したあと、フルタイムの仕事に順調に就けない者も多い。必要なスキルが欠けているために、地元では職がないが、職を探すために引っ越す資金もないのだ。

地域別若者の失業率(出典:国際労働機関)

だが、影響を受けるのはスキルや資格が欠けている者だけではない。国や地域によっては、その反対の事態も起こりうる。つまり、高い教育を受けたからといって、必ずしもきちんとした職に就けるとは限らないのだ。チュニジアでは、高卒者の失業率が24パーセントであるのに対して、大卒者の失業率は40パーセントに及ぶ。中東や北アフリカで、特に失業率が高いのが高等教育を受けた女性だ。トルコでは、大卒の女性の失業率は、大卒の男性の失業率の3倍である。イランとアラブ首長国連邦でも同じ傾向が見られる。サウジアラビアでは、大学を出た女性が職に就けない割合は男性に比べて8倍も高い。

AIが奪うのは「仕事」だけではない

若者が職にあぶれる理由は景気の低迷だけでなく、自動化の進展や求められるスキル不足にもある。新たな技術の登場によって、第1次産業から第3次産業までのあらゆる部門において仕事の性質が変わりつつある。そのため、最も伝統的な職業においてさえ新しいスキルは必要だ。

つい1世代前、製造業の仕事に求められたのは身体能力と簡単な読み書きの能力だったが、いまでは専門能力も求められるようになった。さらに、自動化やAI(人工知能)の導入が進むと、スキルの不要な未熟練労働だけでなく、スキルを要する仕事までも削減されていき、失業者がますます増える。多くの地域で、みなに行き渡る仕事が不足している。

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