若者7500万人が無職にあえぐ世界の暗い未来 超高齢社会の到来は日本だけの問題ではない
一方、途上国で比較的多いのが、無給で家業を手伝う若者たちだ。彼らはまだ若いうちから家業を手伝うか農場で働きはじめる。世界銀行の見積もりによれば、ザンビアでは働いている10代の若者の99パーセントが、そのパターンに当てはまるという。
働かないよりはましにしろ、こうした非公式の仕事は何の規制もなく、賃金も低く労働条件も悪く、社会福祉も何の保障もない。特に中東とアフリカの若者はその犠牲になりやすく、たとえ就けたとしても職の質について不満が大きい。国際労働機関が調査した若者のうち、58パーセントがいい仕事に就けるという希望を捨てていた。先進国でも、24歳以下の若者の3分の1が派遣契約で働いている。
北欧に解決策を学ぶ
ほとんどの人は、貧困に苦しむ者の少ない平等な社会を望む。とはいえ、社会の上位に君臨する一部の者たちは、そう簡単に自分たちの影響力を手放そうとはしない。多くの人が考えるように、平等な社会を実現するためには、その構造を変えなければならない。そのお手本をどこで見つければいいのか。
格差の少ない社会は、欧州北部の小さな国に多い。スカンジナビア諸国とオランダが実施する実効性の高い政策を、他の国でも適用できるかどうかについて、詳しく検討してみる価値はあるだろう。
私たちがインドのバンガロールで、教育をテーマにしたワークショップを開いたときのことだ。インド政府のある代表はこう言った。なるほどフィンランドの学校制度は世界トップクラスだが、人口13億人を超えるわが国のモデルにはなりえない、と。すると、他の代表が彼の意見に異を唱え、北欧のアプローチは確かに人口の少ない国に焦点を合わせたものだが、その成果にはもっと注目すべきだと答えたのだ。
いまはまださほど極端なレベルではないにしろ、北欧諸国でも高齢化が進展し、若者の失業率も約2割にのぼる。それでもなお、北欧社会は移民を受け入れ、人口の男女比のバランスにも優れ、高い教育水準を維持し、その医療制度は世界でも最高水準を誇る。しかも、経済は成長し続けている。
国連開発計画は、「不平等調整済み人間開発指数(IHDI)」を公表している。保健、教育、所得の3つの側面について、各国における達成度を測る指数だ。2015年までの10年間、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、オランダの4カ国がIHDIの上位国から落ちたことはない。本稿で述べた問題の解決法を探すとき、スカンジナビア諸国やその周辺国のアプローチに、学ぶ点がたくさんあるのではないだろうか。
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