母親の意識の高さが、子供を成長させる
親は子供に負けてはいけない

✎ 1〜 ✎ 25 ✎ 26 ✎ 27 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

母親の意識の高さが子供を成長させる

Tehuさんの語っておられるところによりますと、彼のご両親は1990年に、日本に移住しておられます。あの「言論の自由」などを求めて学生と広範な市民が強力に繰り広げたデモ隊に、鄧小平率いる軍が発砲で応えた天安門事件の翌年です。

Tehuさんは移住の理由をご両親から聞いたことがないそうですが、中国のこのような政情を背景に来日されたご両親の志の高さを、偶然だったかもしれませんが、私は想像します。

今ほど発展していなかった中国から、先進国の日本に来て生活になじむにも、相当のご苦労とストレスがあったと想像されます。実際、ご両親は、食堂の皿洗いから日本での生活をスタートされたようですが、そのうえでなお、子弟教育に並々ならぬ情熱を注がれたTehuさんの母上(お父様はその後、中華系ミッションスクールの教育者に)に、私はTehuさん以上に興味を引かれました。

もっともこれは、多くの在日コリアンの子弟教育にも共通していますので、理解できます。「社会的な不利益が多い立場の分、それをはねのけるか乗り越えるくらいの学歴か技術を身に付けなさい」。このようないわゆるハングリー精神で子弟教育に熱心だった家庭は多いのです。そんな私たちや平均的な日本人の教育ママより、はるかに上を歩まれたTehuさんの母上。すごさを感じると同時に敬服しました。

3歳から始めた公文教室の英語の発音がカタカナ表記だったことに母親は怒り、ご自分で辞書を引いて、全部発音記号に書き換えたサポートぶりに、一瞬、私の頭は真っ白になりました。この母上の執念に近いサポートがあって、今のTehuさんがあります。

私は息子たちの小学5~6年の受験勉強を手伝いました。このことは先に述べました理由で、長く、家庭内企業秘密でした。自分の思いどおりに子を育てたがる強引なママゴン像も重なります。が、Tehuさんの母上からみれば、私など、教育面では手抜きママに属し、長年の後ろめたさが、むしろ強い後悔に変わっています。

もっとも3歳から勉強を頑張れば、誰もがTehuさんのように天才になれるとは限りません。3歳から身に付ける学習習慣、と言う意味で、そうとうマズかったのではないかと、遅まきながら、後の祭りで目を覚ました次第です。

3歳からの学習など、「子供は太陽の下で伸び伸びと」という視点からみれば、虐待のように映りますが、パズルのような遊び感覚で学習習慣がつくなら、3歳のパズル遊びは誰もがやっていることですから、目くじらをたてる問題ではありません。しかもTehuさんは、そんな習慣をつけてくれた母親に感謝しています。今がとても楽しいから。

手前ミソになりますが、ムーギーが私から無理に勉強させられたことを、今となっては感謝しているとよく言いますが、同じく遊び大好きのムーギーの弟が、ある日ポツリと「留学中、勉強が嫌だとかつらいとは思わなかった。それもお母さんが、勉強する習慣を僕につけてくれたおかげだったと思う」と言いました。

私の子育ては、精神的な余裕がなく試行錯誤で、後悔もいっぱい伴ったものでしたが、息子たちがさまざまな母子の駆け引きやバトルの中での中学受験時代を、私への感謝の言葉で振り返ってくれるのはうれしいことです。上をみればキリがありませんので、この点に関しても私は決して(この言い方は好みではありませんが)勝ち組ではありませんが、そんな私がヤングママたちに強く、アドバイスできることがあります。

勉強する習慣をつけるのが母親の仕事

子供が小学生までの間は、“学習習慣を身に付けさせる”という点に関しては、絶対に、親は子に負けてはいけません。子供の個性を見定めて、よいと思った勉強や習い事は、どんなに子供が嫌がっても、親がよいリードをして、継続させるべきです。親もそうとうな覚悟と努力が必要で、協力しなければなりませんが、結果的には才能を見いだして伸ばすいちばんの近道なのですから。

そしてそれにもっと近い道は、幼い頃より学習習慣を身に付けてやること。ただしTehuさんはいろんな習い事に挑戦されましたが、合わないと思ったり楽しくない習い事には、さっさと見切りをつけていったそうです。

この見切りをつける時期は重要で、わが家では息子たちのピアノレッスンを、息子たちに負けて数年で中断したことを何度も後悔しました。息子たちが楽しまなかったので、発展的撤退だったと思うようにしていますが。

「継続は力なり」か「発展的撤退」か、そして「親は子供の言いなりになってはいけない」兼ね合い。100組の親子があれば100通りの親子関係があるわけで、親は子に負けてはいけませんが、意固地になってもいけない。責任あるさじ加減が親に求められます。

次ページ「親孝行」も幼少時からの刷り込み
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事