ビジネスの現場では対話力が求められ、教育現場では、「主体的、対話的で深い学び」が重要視されている。しかし、自分の言葉で考えを伝え、相手の意見を冷静に聞くというのを、子どもたちが学ぶのはそう簡単ではないはず。そもそも、家の中でさえ子どもと大人が主体的に、対等に話なんてできているのだろうか。
そこで、教育ライターの筆者が、注目したのが「家族会議」。え? と思うかもしれないが、その名のとおり家族で話し合う会議だ。議題やテーマは自由で、会議時間は5分、10分でもOK。紙やホワイトボードに記録しながら、テーブルに座って、「○○について、どう思う?」と、向き合ってみるだけ。
小2の息子との会話が…
手探りで家族会議を始めて半年、わが家では、この「会議」という一見堅苦しい言葉が、家族の対話を180度、変えた。さらにふと見渡せば、家族会議を実践する家庭は意外と多いことを発見。そこで、この連載では、それぞれの家庭の家族会議のやり方をルポし、その成果を見てみたいと思う。
初回は、アラフォー夫婦と、小学校3年生の息子、小学校1年生の娘を持つタマイコ家が、実際に半年間の会議でどう変化していったか、その様子を紹介したい。
「今日、学校どうだった?」
「ふつう」
「どんな勉強したの?」
「忘れた」
「給食何だった?」
「わすれたー」
これは小学校に上がってしばらくしてから1年間ほど続いた、私と息子の夕食時のお決まりの会話だ。娘は保育園であったことを延々と話し続けているが、息子は黙々とご飯を食べるだけ。まるで思春期の中学生だ。しかし、もともと保育園や学校であったことをいろいろ話すほうではない息子に、何をどう聞けば、うまく話を引き出せるのかわからなかった。
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