今のトップは逃げ切ることばかり考えている 丸山茂雄氏「日本全体が終わってるって思う」

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丸山 茂雄(まるやま しげお)/1941年生まれ。1966年、早稲田大学商学部卒業。読売広告社を経て、CBS・ソニーレコード設立と同時に入社。EPIC・ソニーの創始者であり、ソニー・コンピュータエンタテインメント(現:ソニー・インタラクティブエンタテインメント)会長、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)社長などを歴任。247代表取締役。近著に『往生際』(ダイヤモンド社)(筆者撮影)

丸山:俺なんかのやってることは大したことじゃないよ……でも、大賀さん、小澤さんのやっていることを見ていたら、「なるほどな。次世代のことを考えたら、こういう手を打っておかないと」って思うじゃない。

ところが、そのあとに資本主義の新しい潮流が出てきて。効率主義・株主重視で、どれだけ利益を出すかってことが評価されるっていうね。そうなると、不採算部門をたくさん抱えるのは効率が悪いってことになる。

黒川:事実、そうなっちゃいましたよね。

丸山:日本中がそういう方向にダーッと行ってるからね。だから、次の手を非常に打ちにくい。それに、新しい産業を興すっていっても、アメリカを見てもどこを見ても基本的にはコンピュータ関係のものしかないわけじゃない。製造業において新しいものっていうのは生まれにくいのよ……みたいなことをね。つらつらつらつら毎日考えているんだよ、この年になっても、アハハハハ。

黒川:それはすばらしいことだと思いますけどね。丸さんの年齢で、そういうことを考えて実践されようとしている人っていうのを僕は見掛けたことがなくて、常々、アグレッシブだなと思ってます。

韓流ビジネスをいろいろ研究した

丸山:でも、俺は日本の総理大臣じゃないから。日本全体をどんなふうに動かすかってことを考えはするけど、それは俺の手の届かないところだもんな。じゃあ、何をやるかっていったら、やっぱり得意なのは音楽で。ゲームは産業全体でそこそこ参加者が多いじゃない。だから、失敗してる人も山ほどいるけど、成功するヤツもいて基本的には元気だと思うわけ。

でも、音楽はまったく元気がないから、俺がやるのは音楽のほうだなと。音楽のビジネスモデルの最新型っていうのをね、俺はやんなきゃいけないなって。だから、ゲームのことは研究もしていないし、このインタビューでも語りたくない(笑)。

黒川:そんなこと言わないでくださいよ(笑)。ところで、もうひとつうかがいたかったのは、丸さんが自分の人生はなんか10年刻みだとおっしゃっていて。

丸山:それは結果論ね。

黒川:そうかもしれませんが、2007年にガンになられてちょうど10年、2018年で11年目でじゃないですか。でも、その間もすごくアグレッシブに活躍されてきましたよね。この10年を振り返ってどのように感じられていますか?

丸山:この10年何をやったかといったらば、韓流ビジネスの研究とその実践。このふたつをやらせてもらったって感じだよね。韓流ビジネスをいろいろ研究して「ああ、なるほど」と。日本の音楽業界よりも相当優れてるなっていうのを頭の中に入れて、体にしみ込ませたのよ。それで、新しいことをやるってアナタに言ったよね? 新しいことだったら言うよって。

黒川:おっしゃってましたね。

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