今のトップは逃げ切ることばかり考えている 丸山茂雄氏「日本全体が終わってるって思う」
丸山:そう。それで次に新しいことをやるんだったら、こういう仕組みのほうが、この先の日本の音楽、エンターテインメント、パフォーマンスといったようなものが、より大きな産業として成立するだろうなって。そういうのを考えついたので、じゃあそれやってみようかなって思ってるワケです。
この10年は病気になったっていうこともあるんだけど年齢も考えて、もう新しいことをやるのは無理だろうなって思っていたんだ。それで、ジーッと世の中を見回してたんだけど、さっきも言ったように、今のトップのヤツらは逃げ切ることばっかり考えてやがるって。
もう、家の中で激しくののしったり、現役のヤツに悪たれをついたりしてたんだよ。「こうやればいいんじゃない?」って提言しても、逃げ切ることを考えてるヤツらに新しいことをやる意欲はないわけだから。でも、不思議なもので、これだけどん底だったらチャンスがあるんじゃないんですかって思う人が音楽業界以外から出てくるんだよね。
黒川:音楽業界以外ですか。
丸山:音楽業界は逃げ切ることばっかり考えてるから。でも、やりたいっていう若いモンはいる。今のままじゃダメだって思っているのが。そういうヤツらと一緒にやったらって考えたら、またなんとなくムズムズし始めてね。ただ、俺はあくまで方向性を示すだけだよ。
方向だけ出して、あとは若いヤツらにやっていってもらおうと思ってるわけ。ようやっと20代のヤツをまた取っ捕まえたしね。これでまた若いヤツに、ああだこうだ言って楽しめる(笑)。
いま取り組んでいるのは「音楽産業の新しい仕組み」
黒川:20代ですか、すごいところとつながってるんですね。その丸さんの今やってることってやっぱり音楽なんですか。
丸山:そうそう、音楽よ。ただ、音楽でもなんでもそうだけど、俺はコンテンツを作る人じゃないからね。今の音楽業界はコンテンツを作れる人はそこそこいるけど、全体の制度疲労が極限までいってるわけじゃない。だから、新しい仕組みを考えているんだよ。
新しい仕組みを作って、それを皆さんに提示して。それで、若い人が「そうッスよねえ」って言ってくれれば。今の時代はコンピュータの知識がある人と、おカネを集めてくるのが上手な人がいないと新しいことは起こせないわけだからね。逆に言うと、こういう仕組みでやったらうまくいくよって言ったときに、そういう連中が集まってくれればすぐにいけるわけじゃん。
黒川:いやあ、なんか元気ですねえ。
丸山:元気だけどさ、疲れるんだ(笑)。新しいことをやるとなったら、前みたいに朝8時ぐらいから飛びだしてミーティングをやってね。9時半からもう1個、それで深夜11時とか12時までやらないと処理できないじゃない。それを2年ぐらいやって、やっと一応固まるわけだけど、俺はもうそれはできないからねえ。
黒川:できそうな気もしますけど(笑)。
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