今のトップは逃げ切ることばかり考えている 丸山茂雄氏「日本全体が終わってるって思う」

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丸山:いや、それはもう俺じゃあできない。だけど、その朝から晩まで働くヤツを手元に引き寄せられれば、俺は方向を示すだけだからできるよね。

黒川:それはもうかなり具体的に進行してるんですか?

丸山:どうなんだろう。進行してるって言えるかわかんないけど……まあ進行はしてるわな。

黒川:すばらしい。楽しみですね、それは。

紅白歌合戦、出演者本人たちはうれしいと思っている?

丸山:でも、そんな大げさな話じゃない。やってることはコロンブスの卵みたいなもんだよ。今の最大の問題点は誰が新人を育てるのかってことだよな。今は、新人を育てる主体っていうのが、なくなっちゃった。今まではレコード会社のCDがたくさん売れて、利益がたくさんレコード会社に残ったんで、レコード会社が新人を育てるっていう役目の中心にいた。

だけど、CDが売れないからレコード会社はそんなにおカネが出せなくなった。

まあ、世の中ってのは一晩で引っくり返ることはなくて、徐々に変わっていくわけだから。紅白歌合戦もまだ声がかかれば出るよね。でも、本人たちはうれしいと思っているのかね……? 思ってないけど、親や親戚や友達がすごいと認めてくれるから一応出る。結局はそういうことじゃない。だから、紅白も必要があるかっていったら本当はないんだよ。

黒川:僕もそう思います。

丸山:もう音楽はインディーズみたいなものしか成立しなくなってる。インディーズもいいのよ。いいんだけど、でもやっぱりある程度おカネを注ぎこまないと大きくなっていかない。それはあらゆるエンターテインメントがそうで、誰かがやんないと。

なんか、産業としてドン底まで行かないとわかんないじゃないのかな……。バスケットボールもドン底までいった。で、なんとかしなきゃいけないっていうんで、サッカーの川淵(三郎)さんがやってきて、バスケットボール協会を立て直してっていうのがあったよね。

音楽業界も同じで、やっぱり誰かが音頭を取って、おカネを集めて、しっかり組織を作んないといけない。前のビジネスモデルは壊れちゃったんだから、新しいビジネスモデルを作んなきゃいけないんだけど、前のビジネスモデルがまだ残っちゃってるんだよね。

もうとっくに壊れて終わってるのに、みんなそこにいるわけだよ。レコード会社もたくさん潰れて、残ってるのはわずかしかないのに、まだレコード会社があって、音事協(日本音楽事業者協会)があって、音制連(日本音楽制作者連盟)があって、レコード大賞があって、紅白歌合戦があるっていう、このサイクルで回ってる……それじゃあねぇ……新しいものはいつまでも生まれないよ。

黒川:なるほど~。

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