「ほぼ日」の母が、40代で最高に輝ける理由 母の正念場は、言い訳のきかない40代?

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「糸井は自分の引退後も会社を永続させたい思いがある。私はその願いに応えるために、糸井の判断基準をみなが共有できるよう言語化するとか、仕組みにするといったマネジメントをやっていきたいですね」

”自分丸ごと”と、会社の価値感は合うか?

糸井事務所に転職してから、プライベートのライフスタイルも大きく変わった。

「私の実家をマンションに建て替えた機会に、私の兄弟3家族もそこに住むことにしたんです。妹は3人、弟は2人子どもがいて、ウチの子の年齢とも近いし、仲がいいから毎日が和気あいあい。子育ては兄弟で助け合い、私が忙しいときは、妹や弟の家で子どもを見てもらっています」

糸井事務所は社長自ら愛犬を連れて出社する自由な社風だ。子どもがいる女性社員の中には、「和室に子ども寝かせて、原稿を書く」人もいる。

篠田さんの子どもも、夏休み中、習い事の合間に、会社に寄って行く、なんてことはしょっちゅうあるそうだ。

「子どもは私より“出社”に意欲的(笑)。早く会社に行きたい。次は、いついけるの? なんて聞いてきます」

そんな自由がきくのも、糸井事務所の自由闊達な価値観あってこそだ。

「子どもが生まれて余計ビビッドに感じるようになったのですが、仕事をしている自分とそれ以外の自分って、完全には分けられませんよね。仕事も家庭も親しい友人との付き合いも、丸ごと含めて私という人物です。そんな自分丸ごとの生き方と、自分が働く組織の価値観が合うかどうか。それが、育児と仕事を両立させるカギを握るのだと思います」

では、自分の価値観と合わない組織に勤めている場合はどうしたらいいのか?

篠田さんは、「これは駄目だと思ったら、全力で逃げるのもひとつの選択肢」だと言う。それは、大きな決断だが、天職を見つけた篠田さんから聞くと、説得力がある。どう決断するかはともかく、悩んでみるだけの価値はありそうだ。

孔子は「四十にして惑わず」と言ったが、現実の40歳は惑いまくるもの。そして、その惑いは、残り半分の人生を豊かにするために、ものすごく重要で、必要なことなのかもしれない。

(撮影:梅谷秀司)

 


 

佐藤 留美 ライター
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