ミシュランは調査員の指導を徹底し、誰が行っても同じ評価基準を保てるようにしている。昨年掲載したお店も、ほかと同じように今年もちゃんと改めて調査し直している。その場合、昨年とは別の調査員が行く可能性もある。再掲載になったお店はクオリティが保たれていると判断された半面、一度掲載されたのに翌年以降に掲載から漏れるようなお店は何らかの項目に満たなかったと考えられる。
星を決めるときは合議制となっている。調査員だけではなく、編集長、ガイドブックの総責任者も含め、ミシュランの総意として掲載がされている。ビブグルマンの決め方については知らされていないとのことだった。
掲載軒数の上限は基本的に決まっておらず、全体的な食のレベルが上がれば上がるほど掲載店は増える仕組みだ。一つ星とビブグルマンを合わせて『ミシュランガイド東京2018』に掲載されたラーメン店数は26軒と、昨年の『ミシュランガイド東京2017』の29軒から3軒減ったが、「東京はお店のトレンドの移り変わりも早い。掲載店が変わるのはその動きの一環であり、減ったという意識はない」(日本ミシュランタイヤ広報部)という。
『ミシュランガイド東京2018』には6軒のラーメン店が新たに掲載された一方、『ミシュランガイド東京2017』に掲載されていたうちの9軒が姿を消した。
『ミシュランガイド東京2018』に掲載されているラーメン店は醤油ラーメンの清湯系(あっさりとした透明なスープ)が多くを占め、個性的なラーメンは軒並み外れてしまったという印象がある。ミシュラン側は、「こだわりも偏りもつけるつもりはありません。東京だと一般的に醤油ラーメンが多い印象はあります。「鳴龍」の担担麺、「一福」の味噌ラーメンなど、醤油以外の掲載もあります。そういったお店が前を走っている状況ではないでしょうか」(日本ミシュランタイヤ広報)と回答している。
ラーメンファンとしては、白濁系の豚骨ラーメンを得意とするラーメン店が、『ミシュランガイド東京2018』にはいっさい掲載されていないのも気になるところだが、全国的に見ると豚骨ラーメンは2軒掲載されている(福岡「麺匠 明石家」、広島「ラーメン臥龍」)。ラーメン専門の調査員がいない時点で「清湯好き」「豚骨嫌い」という偏りはないようだ。
『ミシュランガイド東京』には多店舗経営をしているラーメン店も1つも載っていないが、チェーン店を掲載しないという方針はない。ラーメン店ではないが、「すきやばし次郎」や「ジョエル・ロブション」「たこ焼きやまちゃん」など他のジャンルでは多店舗経営のお店も載っている。
あくまでミシュランの基準を満たしていれば、チェーン店であるか否かは関係なく載る。現在、掲載されている単一店舗の料理店が多店舗経営になったら掲載されないというわけでもない。
ラーメン部門の設立で起きた変化
ラーメン部門を設立したことでミシュランガイドはどう変わったのか。「ミシュランガイドというとどうしても『三つ星』みたいなイメージがあったと思いますが、一般の方が普段行けるお店が載ったことで認知度は一気にアップしましたね」(日本ミシュランタイヤ広報部)。
ミシュランを通じて、掲載されたお店に注目が集まり、新たなお客さんが増えて、そこから出た新鮮なフィードバックでまたお店が進化していく、その媒介になれるのがミシュランの価値だ。ミシュランガイドで世界中にラーメンが注目されることによって、日本のラーメンは日本食から世界食になりつつある。
ミシュランガイドが、いわゆるラーメン評論家が選ぶ賞や雑誌と違う新たな風をラーメン界に吹かせていることは間違いない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら