小林製薬「小さな池の大きな魚」戦略の舞台裏 ニッチ市場で高シェア商品を連発できるワケ

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なぜもっと大事な眼球は洗わないのだろう、というのが開発の契機になったアイボン(写真:小林製薬)

ここで「アイボン」の開発経緯を見ると、素朴な疑問から新市場が創造されたことがわかります。コンタクトレンズを外したとき汚れたレンズは洗うのに、なぜもっと大事な眼球は洗わないのだろう、というのが開発の契機でした。ターゲットをコンタクトレンズユーザーに絞って提案し、新市場を創造しました。現在はマーケットが70億円まで拡大、シェアは先に述べたように68%と圧倒的優位を保っています。

そしてこのブルーポンド戦略は、多くの中小企業にとっても有効な成長のヒントになるのでは、と思います。取り扱う製品のマーケットが小さくても、大企業が参入してこなければ利益率も確保できますし、そこで寡占状態を維持できれば、安定した業績が見込まれます。ぜひ、小さな池で大きな魚を育ててもらいたいものです。

小林製薬、といわれて直ぐ思いつくのは、そのユニークなネーミングですが、それは同社の標榜するビジネスモデル「わかりやすさの追求」の1つの側面にすぎず、その他と併せ4つのディメンションがあります。

4つのディメンション

①わかりやすいコンセンプト:一目見てわかる明快なコンセプトに基づいた製品づくりを心掛けています。たとえば、「ブレスケア」は、「ニンニク料理・アルコールの後に」と明記され、「生葉」は「歯槽膿漏を防ぐ」と大きく朱記されています。

②わかりやすいネーミング:その名前から製品イメージが湧くよう、全社挙げて工夫しているところです。「トイレその後に」「熱さまシート」「しみとり~な」「サカムケア」など、直接その効能を訴えているものから駄洒落っぽいものまで、どれも1度聞いたら忘れられない製品名になっています。

何に効く製品かが一目瞭然だ(写真:小林製薬)

③わかりやすいパッケージ:パッケージを見れば、何に効く製品かが一目瞭然です。「のどぬ~るスプレー」のパッケージには大きく開いた口にスプレーで噴霧しているイラストがあり、「アイボン」のパッケージには専用容器を使って眼球を洗っている絵が描いてあります。これなら外国人でも、その用途がすぐにわかります。

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