小林製薬「小さな池の大きな魚」戦略の舞台裏 ニッチ市場で高シェア商品を連発できるワケ

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⑤成功の復讐

絶頂期にこそ、悪い芽が育つことを忘れないようにしましょう。慢心を戒め、絶えず危機感をもって仕事にあたらねばなりません。創業時の心得である「営業要旨」に、「薄利主義、多売主義、迅速主義」が3大意義として挙げられていますが、つねにこの創業時の哲学に立ち返るよう心掛けています。

⑥100-1=0の経営

100の中で1つでも失敗、不満足、不都合があれば、それはゼロに等しいということです。これは実に厳しい考え方ですが、並外れた顧客志向を目指す同社としては、妥協を許さぬ姿勢を内外に示しているのです。

大阪人らしいユーモアが持ち味の会社

「経営理念」ということから幾分堅苦しくなりましたが、同社は本来、大阪人らしいユーモアが持ち味の会社です。そして今年8月22日に創立100期を迎えましたが、その記念として実施されたのが、いかにも同社らしい「小林製薬川柳大会」でした。グループ全社員も参加して4254句もの応募があった、というから驚きです。複数応募の人が何人もいたということです。厳正な審査の結果、選ばれた最優秀賞は次のとおり。

「結論は?」 家族の会話に 小林病

結論から話す、という会議発表のスタイルが、無意識に家庭でも出てしまう、という反省(?)を込めた一句でした。筆者はこのほかに、優秀賞の「たくさんの あったらいいな!を もう100年」、佳作の「外国人 見かけるたびに ありがとう」などで思わず口元が緩みました。

特に後者は、中国人の間で大人気の「12の神薬」に同社より5品が選ばれ、それを含む19品目でのインバウンド売り上げが国内売り上げの約5%に達した、という現状をうまく表現していると思いました。地下鉄で外国人観光客ご一行を見ると、「たくさん買ってくれてありがとう」と心の中で思わず唱えてしまう、という作者の姿が目に浮かびます。

一歩も立ち止まらない、という攻めの経営の同社ですが、一方で、道修町の商人(あきんど)のほんわかした雰囲気も色濃く残しています。ここらあたりの呼吸を、大阪の中小企業もぜひ見習ってほしいと思いました。

竹原 信夫 日本一明るい経済新聞 編集長

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たけはら のぶお / Nobuo Takehara

有限会社産業情報化新聞社代表取締役(日本一明るい経済新聞編集長)。1971年3月、関西大学社会学部マスコミ学科卒、同年4月にフジサンケイグループの日本工業新聞社に入社。その後、大阪で中小企業担当、浜松支局記者などを経て、大阪で繊維、鉄鋼、化学、財界、金融などを担当。1990年4月大阪経済部次長(デスク)、1997年2月から2000年10月末まで大阪経済部長。2001年1月に独立、産業情報化新聞社代表に。年間約500人の中小企業経営者に取材、月刊紙・日本一明るい経済新聞を発行している。
 

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