小林製薬「小さな池の大きな魚」戦略の舞台裏 ニッチ市場で高シェア商品を連発できるワケ

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権威主義・官僚化の排除を目的に導入された「さん付け呼称」(写真:小林製薬)

もう1つユニークなのが、「さん付け呼称」です。1995年、権威主義・官僚化の排除を目的に導入されました。突然肩書がなくなって「〇〇さん」と呼ばれることから、当初は猛反対にあったそうです。しかし始めてから20年以上、今ではすっかり定着しました。なお同社の代表者3人は、みな小林姓です。そのため、現社長は、ファーストネーム(章浩)の頭文字(A)をとって「Aさん」と呼ばれています。トップとの距離も確実に縮まった感があります。

中小企業が見習うべきだと思ったもう1つのポイントが、同社の「経営哲学」でした。といっても同社らしく、「小林製薬が大事にしている精神」とわかりやすく言い換えてくれています。

成長を実感するのは

①逆境が人を育て、順境が人を駄目にする

順境といういすは座りやすく、逆境といういすは座りにくい。しかし人が成長を実感するのは、座りにくいいすに何とか努力して座れたときだ、ということです。

②継続は悪、変化が善

毎日ルーティンの仕事を続けていれば問題は起こらないかもしれない。でもそこに成長はなく、停滞が待っています。同社の代表的製品「ブルーレット」の例でいえば、発売以来48年、容器の大きさや液を排出する穴の場所・大きさの調節、安全性(食品に使う食紅を使用)など工夫を重ねて今日に至っています。もともと製造法が難しく、機構が複雑だったことから、発売後も改良に改良を重ねてきました。この絶えざる工夫が、今の「ブルーレット」ブランドを支えているのです。

③変化が常態、不変は敗者

今の世の中は変化のスピードが速く、変化は当たり前。不変だと成長できずに、敗者になる時代です、変わらないリスクのほうが、変わるリスクより大きいことを肝に銘じなければいけません。

④実行結実

これからの時代、企業間の優劣を決めるのは何でしょうか。企業は頭でっかちの頭脳集団であってはいけません。あくまで実行結実の執行体であるべきです。

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